ナショナル・ブック賞(翻訳文学) なしょなるぶっくしょう(ほんやくぶんがく)
第7回(2024年)
受賞者
10名台湾の風景、歴史、食、移動の記憶をたどりながら、場所とアイデンティティの関係を見つめる。旅の記録が、植民地史と現代の感覚を静かに結びつける。
旅は、土地の歴史を読み返す方法になる。
中文で執筆する作家(表記はローマ字)。
本を禁じる側と読む側のあいだで揺れる、検閲と知の物語。図書館をめぐる寓話的な設定のなかに、権力と読書への欲望が鋭く浮かぶ。
禁じられた本が並ぶ場所では、読むことそのものが抵抗になる。
サーミの土地、家族、移動の歴史を、長い呼吸でつづる叙事詩。奪われた場所と継承の痛みを、個人の声から集団の記憶へと拡張する。
土地を奪われた記憶が、長い詩の流れのなかで息をする。
混沌と暴力が日常を侵食するコンゴを背景に、音楽と身体のリズムが物語を駆動する。熱気とユーモアを帯びた文体が、社会の断片を一気に走らせる。
踊りのリズムが、混乱した世界の脈動になる。
戦禍のシリアを離れた者たちの痛みと再生を、帰る場所の喪失という視点から描く。故郷と避難先のあいだで揺れる感情が、静かな強さを生む。
風が呼ぶ家は、すでに失われた場所かもしれない。
パレスチナ人囚人として過ごした長い年月を振り返りながら、壁と希望、自由の意味を問い直す回想録。監禁の現実が、静かな文体のなかで圧倒的な重みを持つ。
壁のそばで生きることが、希望の輪郭を変えていく。
一日が繰り返される世界に閉じ込められた女性の感覚を通して、時間と現実のズレを見つめる。反復のなかで、日常の輪郭が少しずつ変形していく。
同じ一日が、少しずつ違う顔を見せはじめる。
古い家に染みついた記憶と、そこで暮らす家族の緊張が、呪いのような空気を生む。女性たちの怒りと継承をめぐる、土の匂いのするゴシック小説。
家にしみついた不穏さが、世代をまたいで膨らんでいく。
環境の崩壊が進んだ世界で、毒のような空気と海を背景に、人々の生活と不安が立ち上がる。終末後の日常を、静かな圧迫感で描く小説。
世界が壊れたあとも、生活はそのまま続いてしまう。
メデジンの家と家族の崩壊を背景に、兄の死と国の暴力をめぐる怒りと愛を吐き出す自伝的小説。辛辣で流麗な語りが、記憶の中にかすかな救いを残す。
怒りがすべてを焼きつくす前に、記憶だけがかろうじて残る。