サピール文学賞
さぴーるぶんがくしょう
イスラエルのヘブライ語文学に贈られる年次の文学賞。
- 創設年
- 2000
- 主催
- Mifal HaPayis(ミファル・ハパイス、イスラエル国営宝くじ)
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 5月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
サピール文学賞(Sapir Prize for Literature)は、ミファル・ハパイスが主催するイスラエルを代表するヘブライ語文学の年次賞。故ピナス・サピールの名を冠し、2000年に創設された。主要出版社が提出した候補リストから審査員が5作を最終候補に選び、受賞作はHebrew Book Week期間中に発表される。受賞者には高額の賞金と翻訳助成が与えられ、授賞式はテレビ中継される。
賞品
- 主賞品
- 受賞作の著者には150,000 NISが授与され、4名のランナーアップには各40,000 NISが支払われる。2019年からはデビュー作向けの別枠が導入され、最大3名に20,000 NIS(枠内の勝者には40,000 NIS)が授与される。受賞作にはアラビア語およびもう1言語への翻訳助成が提供される。
- 賞金
- 150,000 ILS
- ランナーアップ各40,000 NIS
- デビュー賞:候補者は最大3名に20,000 NIS、勝者に40,000 NIS(2019年導入)
- アラビア語および他言語への翻訳助成
- 受賞式のテレビ放映によるプロモーション機会
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 候補選定(出版社提出) | 著名な文学者で構成される審査委員会(氏名は受賞発表まで非公開) | announcement | 主要出版社が提出した書籍の中から審査員が5作を最終候補に選出する。 |
| 最終選考(5作から勝者選出) | 同上(審査委員会が討議・投票で決定) | 約20%(5作中1作が受賞) | Hebrew Book Week期間中に受賞作を発表。授賞式はテレビで放映される。 |
| ファイナリストの読者向けプロモーション | 該当なし(プロモーション/イベント運営) | announcement | 最終候補の5名は全国で読者との交流イベントに参加する(例:2005年の読者参加型イベントなど)。 |
選考基準
- ヘブライ語で発表されている文学作品(原著またはヘブライ語への翻訳)
- 原則として著者はイスラエル在住者(2015年の規則変更以降)。年度により市民権・居住条件が変更されているため要確認。
- 対象となる出版年:通常は前年に出版された作品。2006年以降は過去5年以内にヘブライ語に翻訳された作品も別枠で応募可。
- 語数・形式規定:かつては60,000語以上という規定があったが(2003年の議論)その後廃止された
- 主要出版社が提出するリストから選出されるため、出版社との連携が重要
応募のヒント
推奨
- 作品がヘブライ語で発表されていることを確認する(原著または高品質な翻訳)
- 主要出版社からの出版・推薦を得る(出版社提出が選考の前提となる)
- 応募規程(居住資格や翻訳年限など)の最新ルールを事前に確認する
- 著作権や翻訳権の整理、受賞時の翻訳・刊行計画を用意しておく
注意
- ヘブライ語で出版されていない作品を提出しない
- 居住資格を満たさないまま応募する(2015年以降は在住要件が厳格)
- 審査員の個人情報やバックグラウンドに頼った応募を行わない(審査は作品重視)
- 規則に反する情報や誤った出版情報を提出しない
審査員から
- 作品の文学性・独創性・言語表現を重視する
- 編集・翻訳の質が評価に影響することがあるため、校正と編集を丁寧に行う
- 物語の完成度とテーマの深さの両面を示すことが有利
- 審査員の名前は発表まで非公開のため、作品そのものが語るように仕上げる
関連の賞
- Bernstein Prize
- Bialik Prize
- Brenner Prize
- Geffen Award
- Israel Prize
- Jerusalem Prize
- Prime Minister's Prize for Hebrew Literary Works
- Tchernichovsky Prize
- Lamdan Prize
公式情報
https://culture.pais.co.il/sapir_default/過去の受賞者
『Tomorrow We’ll Go to The Amusement Park』は家族や記憶、未来への不安と希望を扱う作品で、日常の小さな出来事を通して登場人物の心の揺れを繊細に描写する小説である。
『Fly Already』はケレットによる短編小説集で、軽妙なユーモアと不条理な場面、そして人間の脆さや温かさが同居する物語を収める。日常のささいな瞬間を通じて生と関係性を描く。
イスラエルの短編作家・脚本家。短く奇妙な物語とユーモア、哀愁を交えた作風で国際的に知られる。
『Widely Open Underneath』は短編集で、家庭や病、喪失といったテーマを繊細な心理描写で描き出す。日常に潜む亀裂や登場人物の内面の苦悩を静かに浮かび上がらせる。
短編作品で高く評価されるイスラエルの作家。繊細な心理描写を特徴とする。
『An Egyptian Novel』は歴史や文化的記憶を背景に個人の物語を紡ぎ出す長編。ユーモアとシニカルな観察を交えつつ、アイデンティティと社会の複雑さを問い直す作品である。
イスラエルの著名な小説家。実験的で辛辣な文体により現代社会を風刺的に描く作風で知られる。
『The Ruined House』は、破壊された家を手がかりに家族史や移民の記憶、ディアスポラ的な経験を掘り下げる長編。過去と現在が交錯するなかで個人のトラウマや受容を描く。
在外の作家として受賞したことが注目された作家(該当情報は出典により参照)。
『家の主』は都市生活や家庭の裏側に潜む緊張や孤独、欲望を描く長編。登場人物の内面に寄り添い、現代社会における期待と個人の欲望の衝突を浮き彫りにする。
現代イスラエルの作家で、社会の矛盾や日常の機微を鋭く描く作品で知られる。
『Mox Nox』は詩的で実験的な文体を用いた小説で、時間や記憶、喪失と再生を主題に、夢と現実が交錯する語りを通じて登場人物の内面を掘り下げる作品である。
イスラエルの詩人・小説家。詩的で実験的な文体と豊かなイメージで知られる。
『1948』は著者自身の1948年の独立戦争に関する記憶を基にした回想録的な作品。個人的な体験や家族史を通して、戦争が個人と国家の記憶に与える影響や喪失と再生について静かに考察する。
イスラエルの作家。小説や随筆を通じて戦争、記憶、個人的体験を題材にした作品で知られる。
『House of Dajani』は、家族史や土地に根ざした記憶をめぐる歴史小説で、家族の世代を通じて権力や遺産、アイデンティティの問題を描く作品として評価された。受賞後、利益相反に関する指摘を受けて賞が取り消された経緯がある。
作家。2009年に『House of Dajani』で当初受賞と発表されたが、後に賞の取り消し(無効化)という経緯があったことが大きく報じられた。
『שלך, סנדר』は、個人的な回想と手紙形式を織り交ぜながら人間関係や時代の変化を見つめる作品。日常の細部を丹念に描写し、個人史と社会史が交錯する中で記憶の摩耗と継承を考察する。
社会や個人の回想を題材にした作品で知られる作家。日常の細部から時代を読み取る視点を持つ。
『The Falafel King is Dead』は、都市の片隅で生きる人々の小さなドラマを通じて喪失と希望を描き出す物語。ユーモアと哀愁を織り交ぜながら、庶民の暮らしや世代間の断絶、日常に潜む深い感情を描写する作品集的な要素を持つ作品。
人物の内面や日常の機微を描く作家。詳細情報は限られるが、社会の周縁に光を当てる作品で注目された。
『Beaufort』は、レバノン国境の前線にある要塞での兵士たちの生活を通して、戦争の虚無と若者の脆弱さを描く作品。緊迫した状況の中での友情、恐怖、日常の崩壊が生々しく描写され、戦争が個人にもたらす心理的影響を強烈に伝える。
作家でありメディアの世界でも活動する人物。軍や現代社会の問題を題材としたリアリスティックな作風で知られる。
『Girl』は、少女の視点から成長と日常の機微を描いた作品。率直で時に厳しい観察を通じて、子ども時代の不安や喜び、世代間のつながりと断絶を丁寧に描き、児童文学としても成人読者に深い印象を与える。
ポーランド生まれの児童文学作家・イラストレーター。子どもの視点を鋭く描く作品で高く評価されている。
『Tsalka's ABC』は、アルファベットを手がかりに著者の旅と記憶、言語体験を綴る回想録的作品。随想と物語が織り交ざり、移民経験や文化間の断絶、言葉が持つ力と限界を静かに探る知的で詩的な一冊。
多作の作家であり翻訳家。記憶や旅、言語の主題を通じて個人史と文化の交差を描く作品が多い。
『Ahuzot HaHof』は、家族の世代交代と戦争や移民が刻んだ記憶を主題にした物語。個人史と国の歴史が交差する中で、ユーモアと悲哀が混在する語り口により、忘却と記憶の問題を浮き彫りにする作品。
家族史や記憶を題材にした長編で知られる作家。ユーモアと哀感を併せ持つ筆致で世代間の断絶と継承を描く。
『The Confessions of Noa Weber』は、主人公ノア・ウェーバーの内面告白を軸に、愛や喪失、自己再生を描く心理劇。率直で時に痛烈な語りによって現代女性の欲望や社会的期待、選択の重さを鋭く問いかける作品。
女性の内面や人間関係を深く掘り下げる作家。率直な語り口と鋭い心理描写で知られる。
『Someone to Run With』は、エルサレムを舞台にした青春小説。孤独な若者たちが街の陰に隠れた真実を追う冒険を通じて友情や勇気を育み、都市の冷徹さと若者の成長を対比的に描き出す。スリルと人間ドラマが交錯する物語。
国際的に知られるイスラエルの作家。家族や戦争、喪失を主題に感情豊かに人間関係を描き、多くの読者に支持されている。
『Adjusting Sights』は、宗教的伝統と現代的価値観の挟間で揺れる人物たちを描いた長編。ラビとしての信仰と個人の欲望、家族の期待が交錯し、記憶と赦しの問題を静かに掘り下げる。物語は複数の視点で進み、共同体の儀礼や過去の傷が個人の選択にどう影響するかを丁寧に描写する。
イスラエルのラビであり小説家。ユダヤ教の伝統や共同体の生活を題材にした作品で知られ、信仰と個人の葛藤を繊細に描く。