キリヤマ賞
きりやましょう
太平洋(Pacific Rim)および南アジアを主題とする書籍に贈られた国際文学賞。1996年創設、2008年に終了。
- 創設年
- 1996
- 主催
- Pacific Rim Voices(サンフランシスコを拠点とする非営利団体)
- カテゴリー
- ノンフィクション・記録文学
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 終了
説明
Kiriyama Prizeは、太平洋圏および南アジアについての書籍を対象に、地域間の理解を促進することを目的として1996年に創設された国際文学賞です。Pacific Rim Voices(サンフランシスコ拠点の非営利団体)が運営し、総額$30,000(フィクション受賞者とノンフィクション受賞者で均等分配)が授与されました。対象は北太平洋、東南アジア・南太平洋、アメリカ大陸、インド亜大陸のいずれかの亜地域の生活や文化に関わる書籍で、英語で執筆されているか英語に翻訳されている作品が対象でした。出版社からの提出が必要で、フィクションとノンフィクションそれぞれ5名の審査パネルが選考を行い、決定は11月〜2月に行われ、ファイナリストは2月末、受賞は3月末に発表されました。最終授賞は2008年です。
賞品
- 主賞品
- 総額$30,000(フィクション受賞者とノンフィクション受賞者で均等分配)
- 賞金
- 30,000 USD
- フィクション賞・ノンフィクション賞に分割して授与
- 創設初期(1996〜1998年)は1部門のみ授賞
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 応募(提出) | 出版社が書籍を提出(出版社提出制) | — | 提出締切は毎年10月末頃 |
| 選考(審査パネルによる審査) | フィクションとノンフィクションそれぞれ5名の審査員パネル(例:Alan Cheuse、Gish Jen、Maxine Hong Kingston、Lisa See など) | — | 審査は11月〜2月の間に行われる |
| ファイナリスト発表と授賞 | 審査パネルにより最終決定 | — | ファイナリストは2月末に発表、受賞は3月末に授賞式で発表 |
選考基準
- 太平洋圏または南アジアの生活・文化に関する重要な主題を扱っていること
- 英語で執筆されているか英語に翻訳されていること
- 出版社から提出されること(個人応募不可)
- フィクションとノンフィクションの両部門で審査される
応募のヒント
推奨
- 応募前に書籍が太平洋圏または南アジアの生活・文化に関して重要な内容を扱っていることを確認する
- 出版社を通じて期日(毎年10月末頃)までに提出する
- 英語版または質の高い英訳を用意する(翻訳作品が対象)
- 著作の地域理解や独自性を明確に伝えるサポート資料を用意する
注意
- 対象地域と関係の薄い書籍を提出しない
- 出版社を通さず個人で直接応募しない(出版社提出制)
- 審査期間中に審査員に直接連絡を取らない
審査員から
- 地域の文化や社会について深い洞察が示されていることを重視する
- 翻訳作品は翻訳の質が評価に大きく影響するため、良質な翻訳を心がける
- 単なる旅行記以上に、その地域の複雑さや多様性に対する理解が表れていることが望ましい
関連の賞
- List of literary awards
公式情報
https://www.rickiandtheflashmovie.com/過去の受賞者
ブーゲンビル島の紛争下で育つ少女マチルダの視点から語られる長編。孤立した島で白人教師がディケンズの『Great Expectations』を読み聞かせることで、現実と物語が交錯し、想像力が救済と対立の双方の役割を果たす様子を描く。
ニュージーランド出身の作家。代表作『Mister Pip』はブーゲンビルの紛争を背景に物語の力と想像力を描き、国際的に高く評価された。
著者の南太平洋でのダイビング体験や海辺での冒険、地域の自然と文化への洞察を綴ったノンフィクション。海洋の豊かさと脆弱性、海と人々の関わりを描くエッセイ集的作品。
海洋やダイビングを題材にしたノンフィクションを手がける作家・ジャーナリスト。本作『The Fragile Edge』で2008年のKiriyama Prize(ノンフィクション)を受賞した。
ブーゲンビルの内戦を背景に、島の子どもたちと白人男性(ミスター・ピップ)との関係を通じて物語の救済力を描く小説。文学が現実に及ぼす影響を問う作品。
ニュージーランドの作家。ブーゲンビル紛争を背景にした『Mister Pip』で国際的評価を得た。物語と想像力の力を主題とする。
南太平洋でのダイビングや海洋探検を通じて、海の生態系や地域文化、冒険と保全の関係を描くノンフィクション。海の脆弱性と人間の営みを探る。
海やダイビングを題材に取材・執筆を行うジャーナリスト。南太平洋を舞台に海洋環境と人間の関わりを描いたノンフィクションで知られる(Wikipedia記事なし)。
パキスタンやアフガニスタンの山村での活動を通じて、教育支援と地域理解の重要性を説くノンフィクション。学校建設や現地の文化に根ざした支援の実践を記録する。
登山家出身の人道支援活動家。パキスタン北部やアフガニスタンで学校建設を行い、『Three Cups of Tea』で広く知られる(同書は後に一部内容をめぐる議論も生じた)。
パキスタンやアフガニスタンの山村での学校建設活動を記録したノンフィクション。教育と地域社会の関係、現地での実践の苦労と成果を描く。
ジャーナリスト兼作家。Greg Mortenson と共著で『Three Cups of Tea』を執筆し、寄付や教育支援の実践を広く紹介した。
短編・中編を集めた短篇集。孤独や記憶、夢と現実のあいまいな境界をテーマに、村上文学らしい抒情と奇妙さを備えた物語群が収められている。
国際的に著名な日本の作家。ファンタジー的要素と日常描写を融合させた作風で知られる。2007年のキリヤマ賞(短編集『Blind Willow, Sleeping Woman』)は、本人の個人的な理由により辞退されたことが記録されている。
シベリアのエヴェン族(トナカイ遊牧民)との長期フィールドワークに基づく民族誌。トナカイと共に暮らす社会の生活様式、宗教、儀礼を豊富な事例で描き出す。
イギリスの文化人類学者。シベリアや北方民族のフィールドワークを通じて、動物と人間の関係や宗教的実践を詳細に記述する研究で知られる。
実在の治療師テレシータ・ウレアの生涯をもとに、19世紀末から20世紀初頭のメキシコ社会、民間信仰、革命の影響を織り交ぜて描く歴史小説。家族と信仰が交差する叙事詩的な物語。
メキシコ系アメリカ人の作家で、国境地帯や家族史、民間信仰を題材にした作品で知られる。現代メキシコ社会の歴史的側面を描く。
ムンバイの複雑な現実を、犯罪、映画産業、スラムや中流社会の生活を通じて描き出すルポルタージュ的ノンフィクション。都市の躍動と矛盾を鮮やかに活写する。
インド出身で米国在住のジャーナリスト・作家。ムンバイ(ボンベイ)の都市生活を現地取材と個人的視点で描いたノンフィクションで国際的な評価を受ける。
イギリス北部のパキスタン系コミュニティを舞台に、愛と喪失、宗教的対立、移民の孤独を巡る人間模様を細やかな筆致で描く長編小説。共同体内の複雑な力学を描写する。
パキスタン出身で英国在住の小説家。詩的で繊細な文体を用い、移民社会や宗教的緊張、個人の喪失を描く作品で知られる。
植民地時代のオーストラリアでの先住民とヨーロッパ人の初期接触を、誤解や衝突、相互理解の試みを含めて考察する歴史書。文化の衝突とその影響を検証する。
オーストラリアの歴史家。先住民と欧州入植者の出会いを文化史的に分析し、植民地主義の複雑さを鋭く描き出す著作で評価される。
1930年代の中国北東部を舞台に、囲碁を通じて結びつく若い中国人女性と日本兵の関係を描く歴史小説。個人の運命と国際的な緊張が繊細な筆致で描かれる。
中国出身でフランスで活動する作家・詩人。フランス語で執筆し、歴史と個人の運命を交錯させる作品で国際的評価を受ける。
ムンバイのパールシー一家を舞台に、老父の介護を巡る家族の確執と愛憎を丁寧に描く長編。日常の細部を通して宗教や階級、都市化が個々の人生に及ぼす影響を浮き彫りにする。
インド出身でカナダ在住の小説家。パールシー(パーシー)共同体や都市社会の周縁にいる人々の視点で近現代インドを描き、『A Fine Balance』などで国際的に評価される。
著者がシャン州の少数民族として育ち、政治的抑圧や民族紛争の中で学生運動に関わり、最終的に英国へ亡命するまでの体験を回想する自伝的ノンフィクション。文化と政治の交錯を描く。
ミャンマー(ビルマ)シャン州出身の作家。軍事政権下での少年時代や学生運動、亡命に至る体験を綴った回想録で知られる。
ムンバイの一家を舞台に、老人介護や家族間の軋轢、社会的圧力を通して個人と共同体の関係を描く長編。細やかな人物描写で家族の弱さと強さ、インド社会の複雑さを浮かび上がらせる。
インド生まれでカナダを拠点に活動する作家。パーシー(パールシー)共同体やインド都市生活を題材に人間の尊厳を描くことで知られる。
著者が中国の揚子江沿いの小都市で英語教師として過ごした二年間を綴った記録。地方の暮らしや人々の価値観を通して、急速に変化する中国社会の姿を丁寧に描き出すノンフィクション。
アメリカ出身のジャーナリスト。中国での駐在経験をもとに現地の暮らしや変化を記録した長期ルポで知られる。
マオリ社会を背景に、家族とコミュニティの関係や歴史的な影響、文化的アイデンティティの揺れを繊細に描いた作品。日常の細部を通して社会的課題と回復の過程を描く。
ニュージーランド出身のマオリ作家。先住民族の視点から家族やコミュニティの物語を描くことに定評がある。
著者の幼少期を通じて、戦時下の中国での生活、家族の喪失、日常の崩壊と再生を描いた回想録。個人的な記憶から大きな歴史の影響を浮かび上がらせる。
戦時期の中国での幼少期の記憶を綴る回想録で知られる作家。
内戦で揺れるスリランカを舞台に、法医学者アニルが遺体の真相を探ることを通して、個人の記憶と国家の暴力、倫理の問題を探求する長編。詩的な文体で歴史の痛みと人間の尊厳を描き出す。
スリランカ生まれでカナダを拠点に活動する作家・詩人。詩的な文体と記憶や歴史をめぐる主題で国際的に評価されている。
著者が自転車でベトナムを旅する体験を通じて、戦争の記憶や家族の断絶、移民としての帰属意識を綴った回想録。旅の描写と内省が交錯し、ユーモアと痛切さを併せ持つノンフィクションである。
ベトナム系アメリカ人の作家。移民体験や記憶をテーマにした回想録で知られる。
台湾の田園や都市周縁の庶民生活を背景に、人々の日常の細部を通して喪失や希望、伝統と近代化の摩擦を描く作品。民俗的な色合いとユーモアが混在する文体で、郷愁と倫理的問いを提示する。
台湾出身の作家。地方の風景や庶民生活を題材に、繊細な心理描写と郷愁を織り交ぜた作品で知られる。
テレビドキュメンタリー番組の制作という装置を通して、アメリカの畜産業と日本社会の関係、家族やジェンダーの問題、メディアの倫理を描く小説。複数の視点を通じてグローバル化が個人の生活に及ぼす影響を照射する。
日系アメリカ人の作家。メディアや家族、文化の摩擦を主題にした作品で知られる。
日本の歴史や文化、社会構造を外国人の視点から再検討し、一般に持たれる誤解や固定観念を問い直す論考。政治・経済・文化の相互関係を分析し、別の視点から日本理解を提示する。
ジャーナリスト・コラムニスト。日本に関する評論や論考を著している。
複数の短編を収めた作品で、日常の些細な出来事を通して登場人物たちの孤独や欲望、関係性の微妙な変化を描く。ユーモアと皮肉を織り交ぜながら現代社会の空洞や個人のアイデンティティの葛藤を静かに描写する。
映画監督・作家として知られる。短編集『Audrey Hepburn's Neck』で1996年にキリヤマ賞を受賞。