ロシアン・ブッカー賞
ろしあん・ぶっかーしょう
ロシア語で書かれた優れたフィクション作品に贈られる文学賞。1992年に創設され、2017年まで毎年授与された。
- 創設年
- 1992
- 主催
- Russian Telecom Equipment Company (RTEC)
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 終了
説明
Russian Booker Prize(ロシアン・ブッカー賞)は、英蘭のBooker Prizeを模して創設されたロシアの文学賞で、1992年から2017年までロシア語で書かれたフィクション作品に対して毎年授与された。受賞候補はノミネート(ロングリスト)から審査員によって6作のショートリストに絞られ、最終的に審査員パネルが受賞作を決定する。運営や名称はスポンサー変動により変化(Smirnoff–Booker、Booker–Open Russia等)し、資金問題やスポンサー離脱を経て最終的には2017年が最後の授賞となり、2019年に賞の停止が公式に発表された(一時的な再開の可能性は残された)。
賞品
- 主賞品
- 受賞者への現金賞(年によって額は変動)、ショートリスト入選作にも副賞が支払われた
- 賞金
- 600,000 RUB
- 1990年代初期:受賞者は£10,000(おおよそ48,000 RUBや約$16,000に相当)
- 2011年に600,000 RUBに増額(以降の年で報道による増減あり)
- ショートリストの各ファイナリストには過去に約$2,000相当の副賞が支払われた(年による差異あり)
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ノミネーション(ロングリスト) | 出版社や推薦者からのノミネートを基に選考委員会がロングリストを作成 | 変動(年による) | ロングリストを公表 |
| ショートリスト(6作品) | 選考委員会(パネル) | 約10%(ロングリストから6作へ選出されるため、ロングリストの規模に依存) | ショートリスト(最終候補6作)を公表 |
| 最終選考・受賞者決定 | 審査員パネル(会長は年ごとに異なり、例:George Walden(2003–2011)、David Gowan(2012–)等) | 1/6(約16.7%) | 受賞作を公式発表(通常12月) |
選考基準
- 文学的努力(文体・構成・表現の評価)
- 現代文学ジャンルにおける代表性
- 著者の作家としての評判・実績
- 作品の独創性・思想性
- 長さは選考基準ではない(短い作品も候補になり得る)
応募のヒント
推奨
- ロシア語で書かれたフィクションであることを明確にする
- 出版社や正規の推薦者を通じて正式にノミネートされるよう手配する
- 作品の文学的価値・独創性・現代性を強調する
- 提出前に校正・編集を十分に行う
注意
- 作品の長さだけを気にしすぎる(長さは評価基準ではない)
- 未完成の原稿や非公式な形で提出しない
- 政治的主張だけを前面に出す応募は避ける
審査員から
- 文学的努力(文体・表現・構成)を重視する
- 現代的なジャンルでの代表性やテーマ性が評価される
- 著者の継続的な活動や評価が参考にされることがある
- 長さは評価要素ではないので、作品の完成度を最優先に
関連の賞
- Booker Prize (英国)
- Smirnoff–Booker Literary Prize(過去の名称)
- Booker–Open Russia Literary Prize(過去のスポンサー名)
- ロシア国内の他の文学賞(例:ヤスナヤ・ポリャーナ賞等)
公式情報
https://diamundialradio.org/過去の受賞者
単一の殺人事件を軸に、事件周辺の人物の視点や社会構造を描き出し、倫理・責任・集団心理を問う作品。法と道徳、記憶の不確かさを鋭く掘り下げる群像劇的構成が特徴。
ロシアの作家。社会的問題や倫理を鋭く描く作風で評価され、2017年に『ボブリキンを殺す――ある殺人の物語(To Kill Bobrykin. The Story of One Killing)』でロシア・ブッカー賞を受賞した。
要塞または要所を象徴的な場として、土地や家族の歴史、世代間の継承をめぐる物語を展開する長編。個人の記憶と社会の変化が絡み合う叙述で登場人物の内面が丁寧に描かれる。
ロシアの作家。家族史や場所に根ざした記憶を描く作風で知られ、2016年に長編『要塞(Крепость / The Citadel)』でロシア・ブッカー賞を受賞した。
1930年代のソ連の強制移住を背景に、タタール人女性ズレイハが家族と故郷を失いながらも生き延び、自己と文化的アイデンティティを再発見していく姿を描く歴史小説。政治的弾圧と抵抗、再生が主題。
タタール系のロシア作家。デビュー作『ズレイハが目を開く(Zuleikha Opens Her Eyes)』で広く注目を集め、2015年にロシア・ブッカー賞を受賞した。
歴史と宗教、記憶の層を織り交ぜた実験的な長編。古代のイメージと現代の語りが重なり合いながら、個人と民族の過去を深く掘り下げる。詩的で哲学的な筆致が特徴の作品。
ロシアの小説家。歴史・宗教・言語の重層的な扱いを特徴とする作風で知られ、2014年に『エジプトへの帰還(Return to Egypt)』でロシア・ブッカー賞を受賞した。
架空の中央アジアの町パンジュルドを舞台に、帰郷や過去の記憶を巡る群像劇を展開する長編。個人の記憶と民族・国家の歴史が交錯し、アイデンティティと記憶の複雑さを描く作品。
ロシアの作家。中央アジアや記憶を主題にした作品で知られ、2013年に『パンジュルドへの回帰(Return to Panjrud)』でロシア・ブッカー賞を受賞した。
ロシアの地方社会を舞台に、年長の農民と若い世代との関係を通じて伝統と変化、個人の内面の揺れを描く長編。日常の細部と人間関係の機微を通して現代ロシアの社会像を浮き彫りにする作品。
ロシアの小説家。地方や世代間の対立を題材にした作風で知られ、2012年に『農民と少年(The Peasant and the Teenager)』でロシア・ブッカー賞を受賞した。
架空のカザフスタンの町を舞台に、スターリン体制下の生活と人々の日常を繊細に描く長編。抑圧と記憶、個人の運命を丁寧に再構築した作品であり、没後に十年を振り返る賞として評価された。
象徴的な花の十字架を巡る家族と宗教、記憶の物語。個人史と共同体の縺れを通じ、喪失と贖罪、再生の可能性を静かに見つめる物語性の強い長編。
レニングラード(現サンクトペテルブルク)を舞台に、複数の世代にわたる女性たちの生活と葛藤を繊細に描く長編。戦時・抑圧・日常の中で女性が果たす役割と個の強さを静かに照らし出す作品。
図書館員や書物への執着を主題に、現代ロシア社会の奇譚的な風景と個人の狂気を織り交ぜた作品。ブラックユーモアと幻想的要素を通して、共同体と個人の関係を問い直す長編。
美術家マティスまたはその名に象徴される芸術と創作の世界を巡るフィクション。創作行為と名声、個人の孤独を軸に芸術家像を再構築し、作品と人生の交錯を描く物語的寓話といえる長編。
多層的な登場人物群を通して、近未来/寓話的なロシア社会の崩壊と再生を描く長編。歴史と個人の記憶、暴力と希望を交差させ、ユーモアと寓意を伴った語りで国民的寓話の様相を呈する作品。
ロシア社会の周縁に生きる者たちの放浪と疎外を、簡潔かつ苛烈な筆致で描いた作品。都市と田舎の断片的な情景を通じて、登場人物たちの行き場のなさとアイデンティティの喪失を浮かび上がらせる。
啓蒙主義的な知的遊戯とロシアの歴史的記憶を交錯させる作品。登場人物の軽妙な会話と皮肉を通じて思想と情熱、世代間の断絶を描き、ユーモアと哀感が混在する長編。
重度の身体障害を抱えた主人公の視点から、社会の無理解と家族の葛藤、身体性と尊厳を抉る自伝的長編。痛烈な描写で孤立と生の価値を問い、読者に強い衝撃を与える作品。
旧ソ連時代のカラガンダ(カザフスタン)強制収容所を舞台に、囚人や看守の暴力と絶望、日常の断片を通して人間の尊厳と自己喪失を冷徹に描く長編。孤独と苦悩が積み重なり、記憶と罪の重さを問う作品。