ネリー・ザックス賞
ねりーざっくすしょう
ドルトムント市が隔年で贈る、異文化理解の促進に寄与した作家を称える文学賞。賞金は€15,000。
- 創設年
- 1961
- 主催
- ドルトムント市(文化局)
- カテゴリー
- 文学総合・文芸総合
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年2回
- 発表時期
- 12月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
ネリー・ザックス賞は、ユダヤ人詩人でノーベル文学賞受賞者ネリー・ザックスの名を冠した文学賞で、ドルトムント市が隔年で授与する。受賞は「人々の理解の促進」に貢献する優れた文学的業績を讃えるもので、賞金は€15,000が含まれる。歴史的には2009年に資金不足で授与が見送られ、2010年に授与された事例がある。また2019年には当初選ばれた候補者が政治的立場(BDS運動支持)を巡る論争のため受賞が取り消され、結果的にその年は「授与なし」となった。
賞品
- 主賞品
- 現金賞金(€15,000)
- 賞金
- 15,000 EUR
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 選考・推薦 | ドルトムント市が指名する選考委員会(年ごとに構成が異なる) | — | ドルトムント市(文化局)による公式発表 |
| 授賞(決定と発表) | 選考委員会が最終決定を行い、市およびメディアで発表される | — | 公式サイトおよび市の広報、報道機関で発表 |
選考基準
- 文学的卓越性
- 異文化理解・民族間の相互理解の促進への貢献
- 国際的影響力や普遍性
応募のヒント
推奨
- 本賞は異文化理解や民族間の理解促進に寄与する作品が評価されるため、その点を明確に示す(代表作の要約や主題の説明を用意する)。
- 国際的な受容や翻訳の有無、受賞歴や評価を整理して提示する(レジュメや作品リストを用意)。
- 英語またはドイツ語の代表作の抜粋や翻訳情報を用意しておくと、審査時に作品の理解が深まる可能性がある。
注意
- 本賞は通常推薦・選考で授与されるため、やみくもな公開応募や直接の売り込みに頼らないこと。
- 政治的プロパガンダや扇動的な表現を前面に出して応募対象と誤解される行為は避ける(論争が評価に影響する可能性あり)。
- 事実と異なる経歴や誇張した情報の提示は避ける。
審査員から
- 作品の普遍性と他者への理解を促す力を重視している。
- 長年にわたる文学的な蓄積や国際的な影響力も評価対象となる。
- 翻訳や国際的な評価がある場合は、その情報を明確に示すことが有益である。
関連の賞
- Bertolt-Brecht-Literaturpreis
- Friedenspreis des Deutschen Buchhandels
- Friedrich Nietzsche Prize
- Georg Büchner Prize
- German Book Prize
- Goethe Prize
- Hannelore Greve Literature Prize
- Heinrich-Böll-Preis
- Großer Preis des Deutschen Literaturfonds
- Jean-Paul-Preis
- Johann-Heinrich-Merck-Preis
- Joseph-Breitbach-Preis
- Kleist Prize
- Leipzig Book Award for European Understanding
- Leipzig Book Fair Prize
- Lessing Prize of the Free State of Saxony
- Literaturpreis der Konrad-Adenauer-Stiftung
- Ludwig Börne Prize
- Mainzer Stadtschreiber
- Rainer-Malkowski-Preis
- Rheingau Literatur Preis
- Schiller Memorial Prize
- Schubart-Literaturpreis
- Siegfried Lenz Prize
- Siegfried Unseld Preis
- Sigmund Freud Prize
- Stadtschreiber von Bergen
- Thomas Mann Prize
- Uwe Johnson Prize
- Wilhelm Raabe Literature Prize
公式情報
https://www2.dortmund.de/de/freizeit_und_kultur/kulturbuero/kulturpreise/nellysachspreis/index.html過去の受賞者
自伝的要素を含む長編作品。著者自身の出自と移住体験、家族の記憶を手がかりに、故郷と新たな土地との関係や個人史と歴史の交錯を描き出す。言語と記憶をめぐる洞察、ユーモアと哀愁の混在が特徴的な作品。
ボスニア生まれでドイツ語で活躍する作家。1990年代の戦争による移住体験や家族の記憶、言語とアイデンティティを主題に、ユーモアと哀愁を織り交ぜた作風で知られる。2019年に長編『Herkunft(出自)』でドイツ書籍賞を受賞している。
個別の単一作品ではなく、ドイツ語圏で発表された作品群に対する評価としての受賞。主題として記憶、アイデンティティ、世代間の関係や歴史の継承を扱い、多言語・多文化の感覚を伴う文学的な探求が認められた。
ドイツ語で執筆する作家。記憶、アイデンティティ、家族史や歴史の継承などを繊細に扱う作品群で評価され、個別作品ではなく総体としての文学的貢献に対して2021年にネリー・ザックス賞が授与された。
クルド社会の歴史や政治的現実、個々人の運命を題材にした小説や詩で知られる。叙情的で力強い語りにより地域の記憶と人間の尊厳を描き出し、国際的な理解と共感を促した業績が評価された。
クルド出身の作家・詩人。歴史と政治、個人の運命を結びつける叙事的な作風で知られ、クルド文化を文学的に発信する役割を果たしている。
家族や社会的疎外、アイデンティティを主題とした小説・戯曲で評価された。実験的な言語運用と緻密な心理描写を通じて現代社会の緊張を浮き彫りにし、国際文学界への貢献が受賞の理由となった。
フランスの作家。家族関係やアイデンティティ、人種・社会的排除を扱う作品で知られ、言語表現の独創性と心理描写が高く評価されている。
亡命・移民の経験を基にした小説群で知られる。抑圧からの逃避や異文化での適応、言語と記憶の問題を鋭く描き、ドイツ社会とアラブ世界の相互理解に貢献した点が評価された。
イラク生まれでドイツ語で執筆する作家。亡命体験や抑圧、同化と記憶の問題を題材にし、難民・移民の視点を文学に反映させている。
共産主義体制下の迫害や亡命体験に基づく小説・エッセイ群を通じて、個人史と歴史的真実の関係を問い続けてきた業績が評価された。文学を通じた歴史認識と共感の促進が受賞理由となった。
ルーマニア出身の作家。共産主義体制下の迫害や亡命者の視点を題材に、記憶と歴史の問題に深い洞察を与える作品を発表している。
女性の権利が剥奪された近未来の全体主義国家を描くディストピア小説。個人の自由と権力の問題を通じて性別や社会構造、政治的抑圧を鋭く批評し、国際的な議論を喚起した代表作である。
「私たちはかつて体育館だった場所で眠っていた。」
カナダの作家。フェミニズム、ディストピア、環境と社会の問題を扱う作品で国際的に著名。長年にわたる多様な創作活動で世界的な評価を受けている。
中東の物語伝統とヨーロッパの文学的表現を結びつける作品群で評価された。移民社会や文化的対話、アイデンティティの問題を描写し、物語を通じた異文化理解への貢献が受賞理由となった。
シリア出身でドイツを拠点に活動する作家。アラブの語りの伝統と現代的手法を融合させた物語で知られ、移民や文化交流をテーマに多くの作品を発表している。
ホロコーストや亡命、個人の記憶を主題にした多数の小説群が評価された。抑制された語り口でトラウマと再生を描き、歴史的記憶の継承と異文化理解の促進に寄与したことが受賞の主な理由である。
ホロコースト生存者としての経験を基に、記憶・喪失・再生を静謐な文体で描いたイスラエルの小説家。個人的記憶の継承と歴史の語り直しで国際的な評価を受けた。
歴史や政治と個人の関係を鋭く描く作品群により、長編小説や戯曲を通じて社会的・政治的記憶を文学的に再構成したことが評価された。作品は歴史的事象の再考を促し、異文化・国際的理解に寄与した。
スウェーデンの作家・劇作家。歴史的事件と個人史を結びつける長編や戯曲で国際的に高く評価され、歴史認識や社会的記憶の再検討に寄与した。
ドイツ語圏出身でフランス語で執筆する作家・翻訳家として、回想録やエッセイ、翻訳活動を通じて個人的記憶と歴史の交錯を描き、異文化間の橋渡しを行った業績が評価された。特に翻訳と散文による文化理解の促進が受賞理由に挙げられる。
ドイツ生まれでフランスを拠点に活動する作家・翻訳家。回想録やエッセイ、翻訳を通じて記憶やアイデンティティ、ユダヤ人の歴史を掘り下げ、異文化理解に寄与した業績で知られる。
個人の自由と社会的圧力の関係を分析し、権威主義や孤立の心理的基盤を明らかにした著作群は、実存的な人間理解と社会批評に寄与した。
社会心理学者・精神分析家として、人間の自由・愛・疎外をテーマにした著作で国際的に影響力を持つ。政治・経済と心理の接点を分析した著作群で知られる。
亡命者の経験と人間の尊厳をテーマにした作品と、亡命文学の支援活動に対する貢献が評価された。作家支援や出版活動を通じて影響を残した。
ドイツ系ユダヤ人の作家・評論家で、亡命文学の重要人物。難民支援や作家の擁護といった人道的な活動を通じて文学界に貢献した。
群衆心理と権力の構造を哲学的・社会学的に洞察する著作と、個人の狂気を描く小説の双方で知られる。言語・暴力・権力の相互作用に対する深い考察が特色。
ブルガリア生まれのユダヤ系作家・思想家。群衆や権力の問題を深く探究した著作や、狂気と孤独を描く小説で国際的に高い評価を受けた。1981年にノーベル文学賞受賞。
言語と記憶、個人の経験を鋭く描く短編・長編で評価される。簡潔で象徴的な文体を通じて戦後のトラウマと日常の断絶を探求する作風が特徴。
オーストリア出身の作家。寓意的で実験的な語り口を用い、戦争体験や言語の限界、個人の喪失と記憶を題材にした作品で知られる。
ユダヤ人一家の運命を通じて、ファシズム下のイタリア社会と若者たちの喪失、記憶を描く長編。叙情的な筆致で歴史と個人の関係を掘り下げる作品。
イタリアの小説家。ユダヤ人コミュニティの生活と、ファシズム時代における疎外や喪失を繊細に描いた作品で国際的に評価される。
権威に対する抵抗や個人の選択を描く作品群で評価された。戦後ドイツの現実と個人倫理を問い直す作風が特徴で、代表作に『Sansibar oder der letzte Grund』などがある。
戦後ドイツ文学を代表する作家の一人。個人の良心や自由、倫理的選択を主題とする小説やエッセイで知られる。
評論・編集を通じて戦後の国際理解と文化交流に寄与した業績が評価された。ドイツ文学の再建と和解を促進する活動が中心である。
ドイツ生まれの作家・編集者。戦後のドイツと諸国間の文化交流や和解を促進する評論・編集活動を通じて評価された。
ホロコーストと亡命の体験を象徴的・宗教的なイメージで詩情豊かに表現した詩作群。喪失と救済、記憶の責任を主題に、個人的な悲嘆を普遍的な人間性へと昇華させる作品群で高く評価された。
ドイツ出身のユダヤ人詩人。ナチスの迫害を逃れてスウェーデンへ亡命し、ホロコーストや亡命の体験を象徴的なイメージで詩的に表現した。1966年にノーベル文学賞受賞。