インゲボルク・バッハマン賞
いんげぼるくばっはまんしょう
クラゲンフルトで開催されるTage der deutschsprachigen Literaturの主要賞。未発表のドイツ語作品の公開朗読を経て選出される。
- Established
- 1977
- Organizer
- ORF(オーストリア放送協会) / Festival of German-Language Literature (Tage der deutschsprachigen Literatur)
- Category
- Literature and General Literary Arts
- Selection Method
- 選考
- Target
- Professional
- Frequency
- 1 per year
- Status
- Active
Description
インゲボルク・バッハマン賞は1977年に創設された、ドイツ語圏を代表する文学賞の一つで、オーストリア・クラゲンフルトで毎年開催される「Tage der deutschsprachigen Literatur(Festival of German-Language Literature)」の主要賞である。故イングボルク・バッハマンを記念して設けられ、招待された候補者がフェスティバル期間中の三日間に未発表のドイツ語作品を公開朗読(各約25分)し、専門の審査員と聴衆の前で議論・審査を受ける。創設当初は9名の専門審査員(出場者は18名)であったが、2008年に審査員は7名に、出場者数は14名に変更された。受賞者はフェスティバル期間中に討議の上で決定され、フェスティバル最終日に発表される。フェスティバルはORFによってテレビ放映されることが多く、複数の副賞(Deutschlandfunk賞、Kelag(審査員)賞、3sat賞、BKS観客賞、Ernst Willner賞など)も授与される。2006年以降、主要賞の賞金は25,000 EURである。
Prize
- Main Prize
- Ingeborg Bachmann Prize(主要賞、未発表のドイツ語作品を対象)
- Cash Prize
- 25,000 EUR
- Deutschlandfunk Prize — EUR 12,500
- Kelag Prize (Jury Prize) — EUR 10,000
- 3sat Prize — EUR 7,500
- BKS Bank Audience Prize — EUR 7,000
- Ernst Willner Prize — EUR 7,000
- Editor's special prize(金額/条件は随時)
Selection
Selection Process
| Stage | Judges | Pass Rate | Announcement |
|---|---|---|---|
| 候補者招待(事前選定) | 主催者および選考委員会が候補者を招待(公募ではなく招待制) | — | 主催側の選考によりフェスティバル出場者が決定される(公開情報が限定される) |
| 公開朗読・審査(フェスティバル期間中、約3日間) | 当初は9名のプロ審査員(創設期)、2008年以降は7名の審査員が担当。モデレーターが朗読と討論を進行する | 約7%(出場者14名の場合:1名が主要賞受賞) | 朗読と審議を経て審査員によって受賞者が決定される(フェスティバル最終日に発表) |
| 最終決定・授賞 | 審査員の討議により最終受賞者を決定 | — | 受賞はフェスティバル最終日に公式発表・テレビ放送・主催公式サイトで公表される |
Criteria
- 文学的完成度(作品の構成・表現力)
- 独創性・新規性
- 朗読での説得力・パフォーマンス
- ドイツ語による表現の質(原語がドイツ語であることが条件)
- 未発表であること(応募要件)
Application Tips
Dos
- 未発表のドイツ語作品を準備する(募集は招待制が基本)
- 朗読での説得力を高めるために読み込みと発声練習を行う
- 作品の完成度・構成・言語表現を磨く
- 出版社・編集者・エージェント等との関係構築で招待の機会を増やす
- 朗読時間(約25分)で要点を伝えられるように要約を組み立てる
Don''ts
- 既に公表された作品を提出しない(未発表が必須)
- ドイツ語以外の原稿をそのまま提出しない
- 朗読時間を大幅に超過するパフォーマンスを行わない
- 討議での反論準備を怠る(公開討論が選考に影響する)
From Judges
- 文章の完成度と独自の視点を重視する
- 朗読は作品の一部を伝える重要な手段。発声と間の使い方を磨くこと
- 公開討論で自分の作品を冷静に説明・弁護できる準備をする
- ドイツ語での表現力(語彙・リズム・文体)を大切にする
Related Awards
- Deutschlandfunk Prize
- Kelag Prize (Jury Prize)
- 3sat Prize
- BKS Bank Audience Prize
- Ernst Willner Prize
- Editors' special prize
- Tage der deutschsprachigen Literatur(Festival of German-Language Literature)
- ORF(テレビ放送による関連企画)
Official Resources
https://bachmannpreis.orf.at/Past Winners
日常の風景を通じて権力構造や人種・移民問題を風刺的に描く短編。ユーモアと辛辣さが同居する語りで、社会的摩擦や他者理解の困難さを問いかける作品である。
ガーナ系イギリス人の作家。短編や長編で人種、移民、ジェンダーを扱い、ユーモアと社会的洞察をあわせ持つ作品が評価される。2016年に『Herr Gröttrup setzt sich hin』でバッハマン賞を受賞した。
「調査」を主題に据えた実験的な短編。言語のリズムや響きを重視した詩的語りを通して、個人の記憶や歴史的断片への問いかけを行う作品である。
ドイツの詩人・パフォーマー。実験的な詩作と舞台表現で知られ、言語のリズムや音響を活かした作品が特徴。2015年に短編『Recherche』でバッハマン賞を受賞した。
存在と不在、記憶の曖昧さを主題にした短編。ユーモアとシニカルな視点で都市生活や人間関係の虚無を切り取り、寓話的に編んだ作品である。
オーストリアの作家でイラストレーター。ブラックユーモアや皮肉を交えた語りで知られ、日常の虚無や存在の不在を寓意的に描く作品が評価された。2014年に『Wir waren niemals hier』で受賞。
家族の断片的な記憶を手がかりに、失われた名前や歴史の影を辿るエッセイ的短編。個人史と集団的記憶が交錯する中で言葉による再構築を試みる作品である。
ウクライナ生まれの作家。家族史や記憶、ホロコーストの影響を題材にした繊細な語りで知られる。2013年に『Vielleicht Esther』でバッハマン賞を受賞した。
言語と自己表現のズレをテーマにした作品。移住や異文化体験を通して生じるコミュニケーションの摩擦やアイデンティティの揺らぎを、繊細に問う短編である。
ロシア出身でドイツ語を使って執筆する詩人・作家。言語や移動、記憶を主題にした作品を発表しており、2012年に『Ich werde sagen: ‚Hi!‘』でバッハマン賞を受賞した。
地域社会の歴史的対立や家族に刻まれた記憶を背景に、少数派としての経験と個人史を織り交ぜて描く短編。歴史の傷跡と個人の再生を鋭く照射する。
オーストリア出身でスロベニア語話者のバックグラウンドを持つ作家。民族的記憶や歴史的トラウマをテーマにした力強い語りで知られ、2011年に『Im Kessel』で受賞した。
幼年期や家族関係の傷跡を主題にした作品。冷たさや欠如といった経験を通じて、愛や再生の可能性を問う力強い語りが特徴である。
ドイツの作家・詩人。しばしば自伝的な素材を扱い、荒々しくもユーモアのある語りで知られる。2010年、『Rabenliebe』でバッハマン賞を受賞した。
死や喪失を目前にした人間たちの緊張と葛藤を描く短編。記憶の層や関係性の脆さを抉るように描写し、日常の中に潜む不穏さを浮き彫りにする作品。
ドイツの作家。人間関係や喪失を鋭く描く作風で知られる。2009年に短編『Bis dass der Tod』でバッハマン賞を受賞し、その緻密な心理描写が評価された。
権力や幻想を寓意的に描く短編。ユーモアと風刺を帯びた語りで、登場人物の欲望や孤独、日常に潜む奇妙さを浮かび上がらせる作品。
ドイツの作家。ユーモアと機知に富む語り口で知られ、日常の不条理や人間関係の機微を軽妙に描く。2008年に短編『Der Kaiser von China』でバッハマン賞を受賞。
中央アジアを連想させる鉄道名を手がかりに、過去の痕跡と個人の記憶を交錯させる短編。移動や出会いの断片を通して歴史の残響が現在に影を落とす様を繊細に描く作品。
東ドイツ出身の詩人・作家。詩や散文で知られ、記憶や歴史、旅を主題にした作品が多い。短い行間に歴史と個人の記憶を織り込む作風が評価され、2007年に「Turksib」でバッハマン賞を受賞。
ドイツの作家・コラムニスト。エッセイや評論、インターネット文化に関する活動でも知られ、2006年に『Sie befinden sich hier』でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの小説家。社会や歴史を背景に据えた長編で注目を集め、2004年に『Der Schlaf in den Uhren』でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの作家。小説や短編で知られ、2003年に小説『Was Dunkelheit war』の抜粋でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
作家。2002年に短編「Geschichte von Nichts」でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの作家・詩人。音と言葉の実験を行う作風で知られ、2001年に「Muttersterben」でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの作家。実験的な語りや言語遊戯を取り入れた文学で知られ、2000年に長篇の抜粋(Excerpt from a long work of prose)でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ハンガリー出身でドイツ語で執筆する作家・翻訳家。移民やアイデンティティ、言語の問題を題材にした作品で知られ、1999年に「Der Fall Ophelia」でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの作家。独特の語り口とブラックユーモア、実験的な文体で知られ、1998年に「PONG.」でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
ドイツの作家。短編や長編で人間関係や現代社会の細部を描く作品群で知られる。1997年に短編「Wie man's nimmt」でイングボルク・バッハマン賞を受賞した。
権力者(Fürst)の言葉が社会や個人に及ぼす影響を追う作品。語りの不確かさや権威の虚構性を鋭く問うことで、政治的言説と日常的実践の関係を露わにする。皮肉を帯びた語り口が特徴的で、権力の言語性を批評的に扱う。
洪水を寓意に用いた風刺的な作品で、集団心理や社会的過剰を諷刺する。ユーモアと批評を交えながら国民的記憶や文化的動員の問題を問うもので、言語実験的な側面も持つ。
オーストリアの作家。風刺的で言葉遊びの多い作風を特徴とし、政治や社会事象をユーモアと批評精神をもって描く。
タイトルが示すような困難や混乱を寓意的に描く短編。ユーモアと皮肉を交えつつ文化的摩擦や個人の不安を照射し、日常の裂け目から現れる社会的緊張を鋭く描写する作品。
人影のない家を起点に、不在や喪失、存在状態を探る作品。静謐な描写で日常の空洞化と記憶の残滓を描き、空間と心理の対応関係から主体の揺らぎや孤独を浮かび上がらせる。
贈与を巡る行為とそこに伴う期待や裏切りを描く短編。贈り物という日常的な行為を媒介にして登場人物の内面や関係性の不均衡を浮き彫りにし、些細なやり取りが持つ深い意味を繊細に掘り下げる作品。
ドイツの作家・翻訳者。短編やエッセイで鋭い心理描写と語りの機知を発揮する。
故郷の記憶と移動のイメージを織り交ぜ、移民としての経験や言語の揺らぎを描く作品。旅と停留所の寓意を通してアイデンティティの流動性を示し、文化間の緊張や個人の記憶を豊かな比喩で表現する。女性の視点が重層的に現れる。
トルコ出身でドイツ語で執筆する作家・劇作家。移民体験や文化の交差を詩的に表現することで知られる。
家族の食卓を舞台に、抑圧や沈黙が日常をむしばむ様子を描く作品。微細なやり取りと場面描写を通じて、個人の主体性の喪失や世代間の緊張を露わにし、日常的な風景の裏に潜む暴力性を冷徹な筆致で示す。
ドイツの作家。家族や日常に潜む暴力や抑圧を鋭く描く作品で知られる。
言語と記憶、伝達の不可能性を主題に据えた作品。断片的な語りと凝縮されたイメージで個人の過去の痛みや他者との接続不全を描き、言葉の不確かさが主体の揺らぎを生む様を示す。静かな語り口が読後に強い余韻を残す。
東ドイツ出身の作家。記憶や疎外、言語の限界を扱う硬質で詩的なプローズに定評がある。
官僚的な手続きや奉仕の概念を通じて、制度と個人の間に生じる摩擦や倫理の曖昧さを描く短編。儀礼化された行為の細部が人物の内面に圧迫感を与え、日常のルーティンがもたらす関係性の希薄化を明晰にえぐり出す。抑制された語りが余韻を残す作品。
身体の動きや「正常さ」をめぐる寓意的な短編。登場人物の細やかな所作描写を通じて、個人の自由と社会的規範の衝突、そして日常に潜む監視や規律の圧力を浮かび上がらせる。静謐な筆致が読者に日常の力関係をじわりと認識させる作品。
友情と臆病さを主題に個人の弱さと社会的期待との葛藤を描く作品。皮肉とユーモアを交えつつ道徳的ジレンマに迫り、人間関係の複雑さと脆さを浮かび上がらせる。
観光地バート・ガシュタインを舞台に孤独や虚無を象徴的に描く作品。冷徹な観察と暗いユーモアで人物の内面や社会の不条理を暴き出す、印象的な短編・長編類作。
モデルと画家の関係を通じて創造行為と観察の問題を掘り下げる物語。記憶と視点の交錯を描き、芸術と現実の境界を静謐な筆致で探る作品である。
『Das Buch des Lebens』からの断章で、個人の生と記憶を詩的に照射するテクスト。言語の跳躍や断片的なイメージを通して存在の多様な側面を探り、舞台性の強い表現が特徴。
音楽的な構成を用いて時間と記憶の反復を描く短編。リズムや変奏の手法で登場人物の内面が浮かび上がり、形式と内容の結びつきを探る実験的な作品である。
ルースという人物を中心に人間関係と主体性の揺らぎを描く作品。社会的背景と個人の心理を繊細に交差させ、アイデンティティや道徳的選択を問うような構成が特徴。
1801年のコペンハーゲンを舞台に歴史と個人の関わりを描く作品。海戦や政治の緊張を背景に人間の決断や運命を細やかに描写し、歴史の中の個人を照射する。
抑制された語りで記憶や死を扱う短編。家族史や個人の断片を積み重ね、言葉の限界に触れながら孤独と時代の痕跡を描く。冷静で詩的な筆致が特徴的な作品。
若者の疎外や日常の空虚をブラックユーモアで描く作品。主人公の視点から社会の矛盾や世代間の断絶を浮かび上がらせ、ユーモアと批評精神で現代生活の不条理を切り取る。
語りの始まりを「試作」として扱う実験的短編。断片的な情景描写と内省を通じて、物語が生成される過程や語り手の意識の揺らぎを探る。言語と記憶の関係を鋭く問う作品。