ナイケ文学賞(Nagroda Literacka 'Nike')
ないけぶんがくしょう
ポーランド語で書かれた単独著者による前年刊行の作品に与えられる、1997年創設のポーランドを代表する文学賞。
- 創設年
- 1997
- 主催
- Gazeta Wyborcza(ガゼタ・ヴィボルチャ)および Agora Foundation(アゴラ財団)
- カテゴリー
- 詩・現代詩
- 選考方式
- 公募・推薦
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 5月頃
- 発表時期
- 10月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Nike文学賞(Nagroda Literacka 'Nike')は1997年に創設されたポーランドの文学賞で、前年に出版されたポーランド語の単著を対象に毎年授与される。Gazeta Wyborcza と Agora Foundation が主催し、設立時にはNICOMの協力もあった。選考は9名の審査員による3段階方式で行われ、5月に公式ノミネート20名、9月に7名のファイナリストを発表、最終的な受賞者は10月の授賞式当日に決定される。受賞者にはギリシャ神話の女神ニケを模した像(彫刻家 Kazimierz Gustaw Zemła 制作)と賞金100,000 PLNが贈られる。加えて読者の投票による読者賞も存在する。ジャンルは問わず、小説・詩・ノンフィクション・エッセイ・自伝・報道文学など幅広い作品が対象とされる。
賞品
- 主賞品
- Nike像(彫刻:Kazimierz Gustaw Zemła)と賞金
- 賞金
- 100,000 PLN
- 読者賞(Gazeta Wyborczaによる投票)
- 受賞による書籍・著者へのメディア露出
- トロフィー(Nike像)
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 一次選考(ノミネート選出・5月) | 9名の選考委員が関与。出版社や団体等からのノミネーションに基づき公式ノミネート20名を選出する。 | 公式ノミネート20名(応募総数に対する割合は公表されていない) | 5月に公式ノミネート20名を発表する。 |
| 二次選考(ファイナリスト選出・9月) | 同じ9名の審査員が20名の中から7名のファイナリストを選出する。 | 20名から7名へ選出(約35%) | 9月に7名のファイナリストを発表する。 |
| 最終選考(授賞式・10月) | 9名の審査員による最終投票(授賞式当日に決定)。 | 7名から1名へ選出(約14%) | 授賞式当日に受賞者を発表する(10月)。 |
選考基準
- ポーランド語で書かれた単独著者の作品であること
- 前年度に刊行された作品であること
- 文学的価値・独創性・言語表現の優秀さを重視
- ジャンル不問(小説・詩・エッセイ・ノンフィクション・自伝・報道文学など)
- 審査は審査員の評価に基づく(読者賞と異なる結果になり得る)
応募のヒント
推奨
- 作品がポーランド語であり、前年度に刊行されていることを確認する
- 出版社や団体を通じて正式にノミネーションを行う(5月のノミネート時期)
- 作品の文学的価値や独創性を示す資料(批評、受賞歴、推薦文など)を用意する
- 出版情報(ISBN、発行日)や著者情報を正確に記載する
- 締切やノミネート時期を守る
注意
- 未刊行の作品や共著を提出しない
- 発行年を誤って申告しない
- 応募要件を満たさない形式で提出しない
- 虚偽の情報を提供しない
審査員から
- 審査は作品の文学的価値と表現力を重視する
- ジャンルは問わないが、言語表現と独創性が重要視される
- 読者賞と審査員の選択が一致しないことがある(読者投票はGazeta Wyborczaで実施)
- 最終決定は授賞式当日に行われるため、最終選考まで作品の評価が変わり得る
関連の賞
- Angelus Award
- Zbigniew Herbert International Literary Award
- Ryszard Kapuściński Award for Literary Reportage
- Polish literature awards
公式情報
https://wyborcza.pl/0,81826.html過去の受賞者
Urszula Kozioł の詩集『Raptularz』は、晩年の視線で世界の脆さと喪失を見つめながら、それでもなお人や動植物への注意と慈しみを手放さない作品集。反射的な嘆きにとどまらず、静かな人間への信頼へと開かれていく。
脆いものにしがみつき、もうひとつの奇跡として立ち上がる一日を待つ。
ポーランドの詩人。長年にわたり国内外で評価されてきた詩作の功績がある。
Zyta Rudzka の小説『Ten się śmieje, kto ma zęby』は、老い、身体、家族、喪失をめぐる出来事を、ブラックユーモアと鋭い言葉づかいで描く作品。日常の会話の切れ味と不穏さが同居し、主人公の生の手触りを強く残す。
喪失の只中でも、女は自分の足で立ち、言葉の強さで世界を押し返す。
ポーランドの小説家・劇作家。ブラックユーモアと人間観察を特色とする作品で知られる。
Jerzy Jarniewicz の詩集『Mondo Cane』は、身近な死や別れ、身体の衰え、メディアの視線を題材にしながら、皮肉と自嘲を交えた鋭い観察で現代の感覚を切り取る作品。告白詩の形式をずらしつつ、私的な経験と社会のまなざしを行き来する。
告白の枠をずらしながら、親密さと距離感のあいだを揺れる現代詩集。
ポーランドの詩人・翻訳者。言語感覚と文化的考察を反映した詩作で知られる。
上シレジアの歴史、記憶、アイデンティティを、証言と資料を通じて掘り下げるルポ。地域の複雑な過去と現在の自己認識を描く。
上シレジアの歴史、記憶、アイデンティティを、証言と資料を通じて掘り下げるルポ。地…
ポーランドのルポライター・ノンフィクション作家。地域に根ざした取材を通じて歴史とアイデンティティを掘り下げる作風で知られる。
19世紀ガリツィアを、民話や神話の手触りをまとった幻想的な歴史小説として再構成する長編。実在の人物ヤクブ・シェラをめぐる暴力と伝承が、濃密な文体で交差する。
歴史と神話の境界で、ガリツィアの新しい物語を編み直す。
ポーランドの小説家。民俗的要素と幻想的な語りを取り入れた作品で注目を集める。
『Nie ma』は、不在、喪失、記憶をめぐるルポルタージュ集。個人の人生の断片、場所に残る痕跡、語られなかった出来事を積み重ね、そこに『ない』ものが社会や人の心をどのように形づくるかを描く。
見えないもの、失われたものから、人の記憶の輪郭が浮かび上がる。
ポーランドを代表するジャーナリスト兼ルポライター。微細な取材と人物描写に定評がある。
『Rzeczy, których nie wyrzuciłem』は、亡くなった母が残した本や品物を整理しながら、母の言葉、性格、時代をたどるエッセイ。感傷を避けた短い断章の積み重ねによって、喪失、記憶、戦後ポーランドの生活感覚が静かに浮かび上がる。
捨てられなかった物の間から、母の声と時代の輪郭が立ち上がる。
ポーランドの作家・エッセイスト。日常の事物や家族を題材にした繊細な随想で高く評価される。
グジェゴシュ・プシェミク事件を軸に、国家暴力と隠蔽の構造を掘り起こす長篇ルポルタージュ。
事件の経緯を追いながら、権力が真実をどう覆い隠すかを描く。
ポーランドの作家・ジャーナリスト。社会的事件の精緻な取材と記録で知られ、本作ではグジェゴシュ・プジェミク事件を徹底的に追跡した。
詩的かつ幻想的なイメージを駆使して、物と人、自然と記憶の境界を問う詩集。日常の断片を異化する比喩と静かな叙情で、死と再生、身体と土地のつながりを繊細に描き出す。
ものと記憶のあわいに、静かな詩が立ち上がる。
若手の詩人・作家。デビュー作で高い評価を受け、詩的イメージと幻想的表現を組み合わせた作風が特徴。
18世紀ポーランドを舞台に、ユダヤ教の異端者ヤコブ・フランクの周囲で絡み合う宗教、権力、記憶の物語を描く長大な歴史小説。
歴史と神話が、巨大な一冊の中でうねり合う。
哲学的で実験性の高い長篇を手がけるポーランドの国際的評価の高い作家。歴史や宗教、旅を題材に深い物語世界を構築する。
ポーランドの歴史家・政治活動家カルロル・モデレフスキの回想録。家族史と政治史を重ねながら、二十世紀ポーランドの変化を自伝のかたちでたどる。
個人史と政治史が重なり、20世紀ポーランドを語る。
歴史家であり反体制活動家でもあったポーランドの知識人。政治と記憶に関する著作で知られる。
小さな鉱山町で起きる少女たちの失踪を巡る長篇小説。過去の暴力や家族の秘密、地方社会の抑圧を重層的に描き、語り手の帰郷がトラウマと記憶の闇を浮き彫りにする。ミステリー的要素と社会批評が交差する力作。
女性の視点や記憶、地方都市の暗部を掘り下げる現代ポーランドの注目作家。社会的テーマを鋭く描く。
顔や肖像を起点に文化や記憶、芸術表象について考察する随筆集。肖像画や他者の顔から人間性や歴史の層を読み解き、視覚と記憶の関係を多角的に論じる知的で抒情的な文章群が特徴である。
批評・随筆を中心に活動するポーランドの作家。文化や芸術、歴史に関する知的な考察で知られる。
地方社会を舞台に、個人の運命や世代間のつながりを描く小説。土地に根付く習俗や記憶、日常の細部に光を当てながら、喪失と再生、家族の絆を叙情的に紡ぐ作品。地域の風土と人物の内面が丁寧に描写される。
ポーランドの作家・ジャーナリスト。地域社会や記憶を題材にした温かみのある作風で知られる。
同級生たちの交流と運命を通じて、ポーランド社会に横たわる反ユダヤ主義や戦争の影を描く戯曲。友情や裏切り、記憶の継承と否認を通じて共同体の倫理を問う重厚なドラマで、舞台上の対話と時間の圧縮が強い印象を与える。
社会的・歴史的テーマを扱うポーランドの劇作家。舞台での対話と心理描写に定評がある。
依存と結びつきのテーマを詩的に掘り下げる詩集。愛や中毒、他者との関係に伴う苦悩を鋭いイメージと率直な言葉で表現し、個人的経験と社会的文脈を織り交ぜながら内面の複雑さを浮かび上がらせる。言葉のリズムと抒情が際立つ作品。
依存と愛のあいだにある痛みを、鋭い言葉で掘り下げる。
現代ポーランドを代表する詩人の一人。私的で繊細なイメージ、実存的テーマに根ざした作品で知られる。
旅と身体をめぐる断片的なエッセイと短篇の断章を結び合わせた作品。移動する人々の記憶や身体性、亡命や死のイメージを通して存在やアイデンティティを哲学的に探る。断片化された語りと多様なエピソードが重なり、読者に思索の余地を与える構成が特徴。
哲学的で実験的な作風を持つポーランドの著名な小説家。旅や移動、存在論的テーマを扱い国際的評価が高い(ノーベル文学賞受賞者)。
農村の老人の一人称の独白を通して、家族史や村の記憶、戦後ポーランドの変遷を重層的に描く長篇。断片的な回想と哲学的な省察が混ざり合い、個人の記憶が共同体の歴史と交錯する様を緻密な言語で綴る。土地と食、身体に刻まれた時間をめぐる叙事は、普遍的な人間の生と死、赦しと矛盾について深い問いを投げかける。
ポーランドの小説家。地方の暮らしや記憶、個人と共同体の関係を重層的に描く作風で知られ、国内外で高い評価を受ける。
破格の語り口と鋭い観察を特徴とする長編。若者文化や消費社会の虚飾、アイデンティティの揺らぎを言語遊戯と皮肉を交えて描き、挑発的でエネルギッシュな文体が際立つ作品。
若手の小説家・劇作家。独特の言語感覚とポップカルチャーへの批評的視点で注目され、現代ポーランド文学に新しい声をもたらした。2006年に『Paw królowej』で受賞。
著者の東欧旅行を綴る紀行的作品。小都市や辺境の風景、人々の営みを繊細に観察し、記憶と移動、文化の境界をめぐる思索を叙情的な文章でつづる随想集のような構成が特徴。
作家・旅行作家。東欧の風景や辺境の人々を詩的かつ観察眼の鋭い筆致で描く随筆・紀行で知られる。2005年に『Jadąc do Babadag』でナイキ賞を受賞した。
暴力や罪、挫折を抱える若者たちの生々しい日常を描いた長編。友情や裏切り、罪の意識を通じて個人と社会の病理を赤裸々に示し、登場人物の心理を精緻に掘り下げる問題作。
小説家・詩人・脚本家。若者の疎外や暴力、道徳的葛藤を描く作品で注目を集める。2004年に小説『Gnój』でナイキ賞を受賞した。
Jarosław Marek Rymkiewicz の Zachód słońca w Milanówku は、記憶や時間の感触を濃く刻んだ詩集です。
Zachód słońca w Milanówku は、受賞作として読み継がれている。
詩人・作家・批評家。歴史や風景をめぐる抒情的で思想的な作品を手がけ、ポーランドの文化・歴史に対する深い洞察で知られる。2003年に『Zachód słońca w Milanówku』で受賞。
四世代にわたるユダヤ系ポーランド人一家の歴史を、著者自身の記憶と調査でたどる家族記憶の大作。個々の人生が、20世紀の激動に飲み込まれたり持ちこたえたりする様子が立体的に描かれる。
家族史をたどることが、そのまま20世紀の輪郭をなぞることになる。
家族史や文化的記憶を題材にした著述で知られる作家。私的な証言を通して20世紀ポーランドの歴史と文化を掘り下げる作品が評価され、2002年に『W ogrodzie pamięci』で受賞した。
母ステファニアの生と死を、自伝的な記憶と詩的断章を重ねながら見送る作品。家族の記録であり、喪失を抱えたまま言葉を手渡す弔辞でもある。
母を語ることが、そのまま自分の生をたどることになる。
ユーモアと辛辣な観察を併せ持つ小説家・エッセイスト。社会や個人の矛盾を独特の文体で描き、多くの読者と批評の注目を集めた。2001年は『Pod Mocnym Aniołem』でナイキ賞受賞。
アルコール依存の語り手を中心に、断酒治療の現場と幻覚めいた自己演出が絡み合う小説。悲惨さと滑稽さが紙一重で、酩酊の文体がそのまま人物像をかたちづくる。
酔いの底から、言葉だけが異様に冴えわたる。
戦後ポーランド文学を代表する詩人・劇作家。簡潔かつ象徴的な文体で人間の喪失や倫理的問いを投げかける作品群を発表している。2000年は詩集『Matka odchodzi』で受賞。
Stanisław Barańczak の詩集で、死や感情の持続、言葉の音楽性をめぐる緻密な短詩が並ぶ。題名どおりの切れ味で、形式と感覚の一致を探る作品群になっている。
鋭く研がれた詩句が、言葉の精度そのものを示す。
詩人・翻訳家・文学研究者。言語に対する鋭い感覚と批評的視点、ウィットに富んだ詩作で知られる。1999年に詩集『Z chirurgiczną precyzją』でナイキ賞を受賞した。
『Piesek przydrożny』は、詩、随想、短い散文を交えたミウォシュの晩年のハイブリッドな作品集である。
詩と思想と記憶が混ざり合う、断章的な晩年の一冊。
ノーベル文学賞受賞の詩人・随筆家。歴史的・哲学的な視点を持つ詩作で知られ、個人と時代の記憶を詩的に探求した。1998年は詩集『Piesek przydrożny』でナイキ賞を受賞。
家族の記憶と戦後ポーランドの時間感覚を、ゆるやかな回想の連なりでたどる長編。Sandomierz 周辺の風景と人物群を通じて、子ども時代の視界が少しずつ世界の輪郭へ広がっていく。
記憶の流れに身を任せながら、世界の輪郭が立ち上がる。
ポーランドの小説家。農村や家族、記憶を主題にした重厚な長編で知られ、地域社会の変容や個人の内面を深く描く。1997年に『Widnokrąg』でナイキ賞を受賞した。