茅盾文学賞
まおどんぶんがくしょう
中国の長編小説に与えられる権威ある文学賞。茅盾の遺言により設立され、1982年に初回授賞。
- 創設年
- 1982
- 主催
- China Writers Association (中国作家協会)
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 4年ごと
- 賞のステータス
- 活動中
説明
茅盾文学賞(茅盾文学奖)は、中国の作家茅盾の遺言に基づいて設立され、茅盾本人が寄付した資金(250,000人民元)により始まった長編小説賞である。中国作家協会が主催し、原則として4年ごとに授賞される(かつては3年ごとであった時期もある)。応募資格は中国籍の著者が中国本土で出版した作品で、文字数は130,000字以上と定められている。選考は中国作家協会の選考委員会が行い、投票は2回行われ、受賞には投票の2/3以上の賛成が必要とされる。各回の受賞者は通常3~5名で、国内外で高い権威を持つ一方、選考過程に関する批判も報告されている。1982年の第1回から2023年の第11回まで、多くの著名作家が受賞している。
賞品
- 主賞品
- 長編小説に贈られる文学賞(設立時の資金は茅盾の寄付による)
- 設立資金: 茅盾が寄付した250,000人民元(設立時の基礎資金)
- 各回の受賞者は通常3~5名
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 一次投票(予備選) | 中国作家協会 選考委員会 | — | 一次候補(該当する場合)の選出・公表 |
| 二次投票(最終投票) | 中国作家協会 選考委員会 | 受賞には投票の2/3以上の賛成が必要 | 受賞作の公式発表 |
選考基準
- 著者が中国籍であること
- 中国本土で出版された作品であること
- 文字数が130,000字以上であること
- 文学的完成度やテーマの深さなど文学性を重視
応募のヒント
推奨
- 応募作品が文字数基準(130,000字以上)を満たしていることを確認する
- 中国本土で正規に出版されていることを確認する
- 作品の文学的完成度を高め、出版社や作家協会等からの推薦ルートを整える
注意
- 字数や出版要件を満たさない作品を応募しない
- 公的地位や人脈を当てにして応募しない(過去にその点で批判があった)
- 非公式・非正規の出版形態で応募しない
審査員から
- 選考は選考委員会の投票で行われ、最終的に受賞には投票の2/3以上が必要であることを念頭に置く
- 各回の受賞者は通常3~5名程度である
関連の賞
- 魯迅文学賞 (Lu Xun Literary Prize)
- 翻訳・国際出版の機会(受賞作は英訳等で出版されることがある)
公式情報
https://web.archive.org/web/20080619102702/http://www.chinawriter.com.cn/zgzx/zxzyjx/mdwxj/過去の受賞者
近年の代表作とされる長篇。地域と個人の歴史を織り込み、新時代の文学的成果として高く評価された。
史詩の世界から、遊びと生の感覚を立ち上げる。
時空と記憶、上海を巡るテーマを扱った長篇小説。中国現代を背景に人物の内面と都市の変容を描く作品で、2023年に茅盾文学賞を受賞した。
秘密工作と都市の変化が、上海の時間を描き出す。
事件の捜査と私生活の揺らぎが重なり合う、心理的な緊張を帯びた長編。犯罪の謎を追いながら、家族や社会の圧力を照らし出す。
捜査と私生活の揺らぎがひとつの暗い物語になる。
現代中国の数十年にわたる社会変化を背景に、複数の家族を通して普通の人々の日常と苦悩、希望を描く群像劇。時代の変転が個人の生き方に与える影響をリアルに描写する。
変わりゆく中国で、ふつうの人びとの暮らしを追う。
忘れがたい記憶や過去の影響が現在の人間関係に及ぼす力をテーマにした長編。個人の記憶や歴史観が交錯する物語で、喪失と再生のモチーフを描く。
記憶の重さが、いまの関係を揺らす。
地方から都市へ向かう人々の移動や決断を通じて、現代中国における流動性と個人の希求を描く作品。移動する労働や生活の実相を生々しく描写する。
大運河の流れに沿って、人と歴史の行方をたどる。
主人公を中心に据えた物語で、個人の葛藤や役割、他者との関係性を通じて現代社会の問題を浮かび上がらせる作品。アイデンティティと責任が主要テーマ。
舞台と人生のあいだで揺れる主人公の輪郭をたどる。
家族と兄弟関係を軸に、個人の道徳的選択や時代が人間性にもたらす影響を扱う長編。細密な心理描写と歴史意識が特徴の文学作品。
家族と倫理のねじれを、細密な筆致で掘り下げる。
江南地方を舞台に、都市と郷村、伝統と現代性の交錯を主題とする三部作。文化的記憶と個人のアイデンティティ、地域社会の変容を詩的かつ実験的な文章で描き出す。
江南の記憶と変容を、三つの物語でたどる。
都市と個人の関係、記憶と歴史を巡る長篇。中国現代社会の人々の内面と変化を描いた作品。
新疆の風景を通して、個人と時代の距離を見つめる。
『生命册』は平原三部作の完結編にあたる長編で、地域社会の変遷と個人・家族の運命を描く作品。農村と都市化の衝突、歴史の記憶と人々の生活が主題となっている。
平原を背負って生きる人びとの運命を描く。
上海を舞台に、主に上海方言で語られる群像的な長編小説。都市の変遷や市井の人々の生活、世代間の葛藤を繊細に描く。方言表現を多用することで地域の空気感を再現している。
上海の街の息づかいを、方言のリズムで立ち上げる。
人間の欲望や道徳の曖昧さをテーマにした物語。登場人物の陰影と象徴的モチーフを通じて現代社会の人間関係の脆さを描き出す。
欲望と暴力が絡み合う街角の物語。
全十冊・三十九巻からなる大長編で、地質研究者の手記という形式をとりながら、人と土地、記憶と理想を重ねていく。広大な時間と空間を貫く叙述が特徴。
大地を歩くように、人と記憶をたどる十巻本。
民辦教師たちの現実を描いた長編で、改革期の農村教育を支えた人びとの苦難と誇りを追う。『鳳凰琴』の主題を拡張した作品として読める。
学校の灯を守る人びとの、静かな闘い。
産婦人科医の姑姑の生涯を軸に、計画出産政策の半世紀を見つめる長編。個人の記憶と国家の制度が強くぶつかり合う。
一人の女性の生涯に、中国の生育史が重なる。
盲人按摩師たちの生活と感情を通して、都市の周縁に生きる人びとの世界を描く長編。視覚を奪われた人びとの感覚と倫理が、繊細に立ち上がる。
暗闇のなかに、濃密な生の手触りがある。
孤独な会話への欲求を軸に、世代をまたぐ人間関係をたどる長編。平凡な日常のなかにある「話が通じる相手」の希少さが主題になる。
ほんとうに話が通じる相手を探す物語。
清風街を舞台に、変わりゆく農村とそこに生きる人びとの息づかいを描く長編。故郷の風土に根ざした濃密な描写が、農村社会の揺れを映し出す。
故郷の農村が変わっていく痛みと熱を描く。
エルグナ河右岸に暮らす鄂温克族の歴史と生活を、語り手の記憶を通してたどる長編。自然と共に生きる共同体の変化を、静かな声で描く。
川の右岸に生きる人びとの記憶をたどる。
国家安全部門701を舞台に、聴風・看風・捕風の三部から諜報世界の人間模様を描く長編。謎と能力、孤独と献身が交差する。
情報戦の暗部を、人物の運命として描き出す。
丹江口水庫周辺の農村を舞台に、暖暖の生き方を通して時代の変化を描く長編。山水の風景と人間関係が重なり、農村の現実と希望が見えてくる。
湖と山のあいだで、村の暮らしと希望が揺れる。
明代の改革家・張居正の生涯と万暦新政を四巻で描く歴史長編。第2巻では京察と折俸事件、第3巻では改革の攻防、第4巻では皇権回復と変法の挫折へと進み、権力の興亡を重層的にたどる。
改革を支えた権力の均衡が、やがて崩れるまでを追う。
女作家・吴为の人生を軸に、家族と時代の変転をたどる長編。女性たちの婚姻と生の軌跡を通して、近代中国の動揺と記憶を描く。
ひとりの女性の人生から、近代中国の記憶を見つめる。
抗日戦争から文化大革命後までの半世紀を背景に、梁大牙らの歩みを追う軍旅小説。戦場と日常の両面から、時代に翻弄される人間像を大きく描く。
戦争の記憶と人間の歩みを重ねて描く。
改革開放期の国有企業とその周辺を舞台に、家族と制度の軋みを描く長編。企業改革の現場にいる人びとの理想と迷いが、鋭く立ち上がる。
改革の時代に立つ人びとの迷いと勇気。
西南連合大学に南下した知識人一家の生活を軸に、戦時下の中国を描く長編。学問と家族、避難と連帯が折り重なり、温かな筆致で時代の傷を照らす。
戦時下の南下と知識人の暮らしを、やわらかく深く描く。
体制内部の矛盾や地方官僚の葛藤を描き、個人の道徳的選択と社会的責任を問いかける長編。現代中国の政治・社会の問題をテーマとした作品。
抉択(决择)を通して、官僚制と道徳的選択の交差を描く。
1951年の人民解放軍によるチベット「解放」直前の十年ほどを舞台に、チベットの族長マイチ一家を幼い末息子の一人称で語る長編。封建的で残酷かつロマンチックな境遇、土地の慣習と外部からの変化を描く。
『紅いケシ(Red Poppies)』を通して、チベットの社会と封建制と権力の交差を描く。
1940年代から文化大革命後までの上海を舞台に、主人公王琪瑶の生涯を通して都市の変遷と個人の運命を描く代表作。上海の市民生活と女性の運命を細やかに描写する。
長恨歌を通して、上海の都市生活と時間と記憶の交差を描く。
中国の歴史を背景に展開する長編三部作。茶文化を中心に据え、文化大革命などの歴史的出来事を扱いながら、暴力に対する文化の勝利という主題を描く。文学作品であると同時に学術的な考察も含む。
茶人三部曲を通して、茶文化と文化と暴力の交差を描く。
戦争とその中で生きる人々の姿を描いた長編。社会主義リアリズムを基調とし、戦時下の市民・兵士の葛藤や友情、犠牲を通して人間性を描写する作品。
戦争と人(战争和人)を通して、戦争と人間性の交差を描く。
陝西の白鹿村を舞台に、一世紀近い時間を通して家族や土地、伝統と変革を描いた大河小説。中国の社会変動と人間模様を叙述的かつ細密に描写する。
白鹿原を通して、地域社会と家族の葛藤の交差を描く。
地方社会や個人の運命を描く長編小説。作者の経験する時代背景や文化変動が反映され、家族や地域の記憶、社会変動が主要テーマになっている。
白門柳を通して、社会変動と家族の交差を描く。
改革開放期を背景に地域社会の変化と人間関係の揺れを描いた長編小説。作者の代表作であり、1998年に茅盾文学賞を受賞した。
騒動の秋(騷動之秋)を通して、社会変動と人間関係の交差を描く。
陝北の農村を舞台に、数年にわたる若者たちの成長と社会変動、貧困からの脱却を描く長編小説。家族や友情、恋愛、故郷と都会の対立などを通じて改革開放期の中国社会を写実的に描写する。
平凡的世界を通して、農村生活と社会変動の交差を描く。
歴史を題材とした長編小説。権力と人間の運命を描いた作品で、作者の代表作とされる。
少年天子を通して、歴史と権力の交差を描く。
中国の急速な都市化と社会変動を背景に、都市に生きる人々の関係と葛藤を描いた長編。于曉輝(Yu Xiaohui)と共著。
都市風流 (共著: 于曉輝)を通して、都市化と社会変動の交差を描く。
都市の変化と人々の生活・感情を描いた長編で、夫の孫黎(Sun Li)と共著。都市化がもたらす社会的・個人的葛藤を描写する。
都市風流を通して、都市化と社会変化の交差を描く。
『第二の太陽』は社会主義現実主義的な視点から人間と社会の矛盾を描いた長編。著者の保守的・正統的な文芸観が反映されている。
第二の太陽を通して、革命と社会主義の交差を描く。
北京市のイスラム教徒(回族)の翡翠(玉)彫刻師の一家三代にわたる歴史を描く長編小説。市場経済や起業精神、民族間のステレオタイプをめぐる議論を含む。
穆斯林的葬礼(翡翠王/The Jade King)を通して、家族史と民族(回族)と同化の交差を描く。
第六紅軍団を率いて敵の包囲を突破した体験を基にした創作的叙述。戦闘描写と兵士同士の結びつき、革命期の苦難を描く。
浴血羅霄を通して、戦争と革命の交差を描く。
歴史を題材とした長編小説。詳細な初出年やページ数などの具体情報は入手困難である。
金瓯缺を通して、歴史と家族の交差を描く。
1938年の黄河決壊を背景に、農民たちの生存と抵抗を描く長編。
黄河の氾濫は、村の暮らしと運命を大きく変えていく。
改革開放初期の工業部門を舞台に、官僚制と近代化の摩擦を描く社会派長編。
改革初期の工業社会を、制度と人間関係の両面から描く。
北京の鐘鼓楼周辺を舞台に、ひとつの結婚式の日に集まる人びとの暮らしを細やかに描く長編。
北京のある一日を切り取り、四合院の暮らしを立体的に映す。
約20万字の長編小説。荒廃した村で暮らす農家一家の生活を写実的に描き、農村政策が一家に与えた影響を通して時代の傷痕を描写する作品。傷痕文学を代表する一作とされる。
許茂とその娘たちを通して、農村と家族の交差を描く。
社会主義的・愛国主義的テーマを含む長編小説。中国の現代史や人間ドラマを描く作品として評価された。
東方を通して、愛国心と社会主義の交差を描く。
軍人と戦後社会を描いた長編小説。登場人物の葛藤や時代背景を通じて人間ドラマを展開する作品。
将軍吟を通して、軍隊と戦後社会の交差を描く。
明末の農民反乱指導者・李自成の生涯と時代を描いた長編歴史小説の第1巻。史実とフィクションを織り交ぜて群像劇的に展開する。
李自成(第一巻)を通して、歴史と反乱の交差を描く。
湖南省の山間にある小さな町を舞台に、文化大革命期の社会と人々の暮らし、伝統と変化の衝突を描く作品。地方の生活と女性の運命を中心に扱う。
『芙蓉鎮』を通して、農村生活と文化大革命の影響の交差を描く。
社会の変化の中で生きる人々の営みと心理を描いた長編。温かさと批評精神を併せ持つ作品。
冬天里的春天を通して、社会変動と人間関係の交差を描く。