オックスフォード=ワイデンフェルド翻訳賞
おっくすふぉーどわいでんふぇるどほんやくしょう
英語への書籍単位の文学翻訳(現存するヨーロッパ言語から)を対象とした年次の翻訳賞。賞金は£2,000。1999年創設。
- 創設年
- 1999
- 主催
- ジョージ・ワイデンフェルド男爵を称えて創設。ニュー・カレッジ、クイーンズ・カレッジ、セント・アンズ・カレッジ(オックスフォード大学)が支援。Oxford Comparative Criticism and Translation(OCCT)が運営。
- カテゴリー
- 研究・翻訳・学術
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 1月頃
- 発表時期
- 6月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Oxford-Weidenfeld Translation Prizeは、英語への書籍長の翻訳(現存するヨーロッパ言語から)を対象とする年次の文学賞。1999年に第1回が行われ、Lord Weidenfeldにより資金提供され、New College、The Queen's College、St Anne's Collegeなどオックスフォード大学の複数のカレッジが支援している。ホストはSt Anne's College(Oxford)。ショートリストは例年5月中旬に発表される。受賞作は専門の審査委員会によって選定される。
賞品
- 主賞品
- Oxford-Weidenfeld Translation Prizeの受賞(具体的な賞金額は本文に記載なし)
- 受賞による認知度向上・プロモーション効果
- 受賞者紹介・審査会での表彰
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ロングリスト(Longlist)選考 | 審査委員会(翻訳者・学者等のパネル) | — | 公式サイトや主催のSNSで発表(長listは年による) |
| ショートリスト(Shortlist)選考 | 審査委員会(翻訳の専門家・学者) | — | 公式サイトやSNSで発表(例:5月中旬にショートリスト発表) |
| 受賞者(Winner)選定 | 審査委員会の最終選考 | — | 公式サイト、OCCTブログやSNS等で発表(年次) |
選考基準
- 英語への翻訳作品であること(書籍長)
- 原語が現存するヨーロッパ言語であること
- 翻訳の文学的・言語的質(文体、語感、正確さと創造性)
- 原作の文学的価値の再現・読み手への伝達力
応募のヒント
推奨
- 応募要件(英語への書籍長翻訳であること、対象言語が現存するヨーロッパ言語であること)を事前に確認する
- 出版社や刊行情報、版権・権利関係を明確にして提出する
- 翻訳の文体・読みやすさ・原作との関係性を丁寧に推敲する
- 校正を十分に行い、翻訳としての一貫性と品質を示す
注意
- 未出版の抜粋のみを応募する(応募は書籍長の翻訳が要件)
- 権利処理や出版情報を曖昧にしたまま応募する
- 校正やスタイルの不備を放置する
審査員から
- 原作のトーンやリズムを英語で再現する努力を重視すること
- 翻訳の自然さ(英語読者にとっての読みやすさ)と原作の雰囲気の両立を目指す
- 注釈や訳注は必要最小限に、翻訳自体で意味を伝える工夫をする
関連の賞
- International Booker Prize (国際ブッカー賞/翻訳対象賞)
- PEN Translation Prize
- Various national translation awards (例:TA First Translation Prize, ALTA関連賞)
公式情報
https://www.queens.ox.ac.uk/oxford-weidenfeld-prize/過去の受賞者
比喩的・詩的なイメージを通じて感覚の脆弱さや喪失、孤独を探る短篇・散文集的作品。寓話めいた場面が存在の不確かさを浮かび上がらせる。
米国の文学翻訳家・編集者。フランス語圏を中心に多くの文学作品の英訳を手掛ける。
ルワンダの歴史と個人的記憶、特に女性たちの視点からジェノサイドやその後の再生を扱う作品。個人史と集団史の交差を通じて記憶の継承を問う。
検閲や記録管理にまつわる断章やメモを通して、表現の自由と権力の関係を照らし出す。検閲が個人と公共に及ぼす影響を素材にした作品。
「クーリチュード」を主題に、移民労働や航海、島嶼社会の記憶を詩的・散文的に綴る作品集。植民と移動の歴史が個々の記憶と結びつくことを問う。
都市の周縁や移民の経験を通して、社会的排除や貧困、暴力がもたらす生の荒廃を描く実験的な長編。断片的な語りが現代の不安を映し出す。
国境や移動をめぐる経験、家族との関係、自己のアイデンティティの葛藤を扱う現代小説。移民としての疎外感や過去と現在の交錯を通じて主人公の内面を描く。
19世紀のバルカンを舞台に、オスマン帝国の将校オメル・パシャ・ラタスの生涯を通して地域の歴史や権力関係、文化的衝突を描き出す歴史小説。
英国の文学翻訳家。バルカン地域の作家の英訳で知られる。
孤立した少女たちの世界を通して、親密さと暴力、罪悪感や虚無を繊細に描く中篇的作品。閉鎖的環境での力関係や心理的緊張が物語を徐々に浮き彫りにする。
リナ・ウルフの『Bret Easton Ellis and the Other Dogs』は、文学参照や皮肉を交えた物語群で、暴力やジェンダー、不在感をめぐる鋭い視点を示す作品である。現代文化への批評性とユーモアが混ざり合い、読後に不穏な余韻を残す。
翻訳家。スウェーデン語圏の作品を英訳する翻訳家で、リナ・ウルフの英訳により本賞を受賞した。
ヨーン・カルマン・ステファンソンの『The Heart of Man』は、北欧の自然や島嶼社会を背景に、人間の孤独や愛、存在への問いを詩的かつ叙事的に描く作品である。荒涼とした風景の中で繰り返される喪失と希望が物語を貫く。
翻訳家。ヨーン・カルマン・ステファンソンの英訳により本賞を受賞した(出典資料では個別ページが示されていないため詳細は不明)。
『100 Dutch-Language Poems』は、オランダ語圏の詩を横断的に収めた選集で、古典から現代詩まで多様な声を紹介する。愛や喪失、都市と自然、社会的記憶などの主題を通じて、翻訳による異文化間の詩的対話を促すアンソロジーである。
翻訳家。オランダ語圏の詩を英語に紹介する編集・翻訳に携わり、本賞を受賞した(同点受賞)。
『100 Dutch-Language Poems』は、オランダ語圏の詩を横断的に収めた選集で、古典から現代詩まで多様な声を紹介する。愛や喪失、都市と自然、社会的記憶などの主題を通じて、翻訳による異文化間の詩的対話を促すアンソロジーである。
翻訳家。Paul Vincentと共同で編訳を行い、オランダ語詩の英訳集により本賞を共に受賞した(同点受賞)。
ジェニー・エルペンベックの『The End of Days』は、ひとりの女性の人生と選択を通して20世紀の歴史的変動と個人の記憶を繊細に描く長篇である。偶然と必然、喪失と再生を静謐な筆致で綴り、歴史と私的経験の交差を深く掘り下げる作品である。
ドイツ語圏文学の英訳で著名な翻訳家。ジェニー・エルペンベックの作品の英訳により本賞を受賞した。
ヴァレリー・ルゾー(Valérie Rouzeau)の詩集『Talking Vrouz』は、言葉の響きや言語遊びを駆使した詩群で、都市生活や女性の感情、日常の驚きを詩的に切り取る。口語的リズムと断片的イメージが重なり、翻訳によって新たな音声的・意味的解釈が生まれる作品である。
詩人であり翻訳家。フランス語圏の詩を英訳する仕事で知られ、選詩集の翻訳により本賞を受賞した。
ヘルタ・ミュラーの『The Hunger Angel』は、第二次大戦後にソ連の抑留収容所へ送られた青年の断片的記憶と内面を、詩的かつ冷徹な文体で描く長篇である。トラウマ、飢餓、孤独、言語の限界などのテーマを通じて、個人の尊厳と歴史の残酷さを深く掘り下げる作品である。
翻訳家・劇作家。ヘルタ・ミュラーの英訳で知られ、その訳業で本賞を受賞した。
ディエゴ・マラーニの『New Finnish Grammar』は、言語と記憶、自己再構築をめぐる実験的な物語である。主人公の言語習得や失われた過去の手がかりを通じて、言語が個人のアイデンティティと歴史をどのように形成するかを探る寓話的要素を含む作品である。
翻訳家。ディエゴ・マラーニのイタリア語小説を英訳して本賞を受賞した(出典資料では詳細な経歴が示されていないため要補足)。
サラマーゴの『The Elephant's Journey』は、実話を下敷きに象と従者が欧州を旅する出来事を寓話的に再構成した歴史小説である。権力と礼儀、文化の衝突を軽妙なユーモアと皮肉を交えて描き、人間社会の矛盾や優しさを浮かび上がらせる。
ポルトガル語・スペイン語から英語への主要翻訳家。サラマーゴをはじめとする著名作家の訳で国際的に高く評価されている。
ヴァレリオ・マグレッリの詩選は、言語感覚や時間、記憶の断片を繊細に掬い取る詩群を収める。日常の細部から哲学的思索へと広がる多声的な詩世界が特徴で、翻訳を通じて新たな読解の層が生まれる。
英国の詩人で翻訳家。イタリア詩の英訳で知られ、選詩集の訳業で本賞を受賞した。
サーシャ・スタニシッチの『How the Soldier Repairs the Gramophone』は、ボスニア紛争と難民としての移住経験を背景に、幼年期の記憶や家族の物語をユーモアと魔術的リアリズムで織り上げる自伝的長編。言語と故郷の喪失、異郷での再生が繊細に描かれる作品である。
英国の著名な翻訳家。欧州文学の英訳で知られ、本賞はサーシャ・スタニシッチの作品の英訳に対して授与された。
ジョゼ・マリア・デ・エサ・デ・ケイロスの長編の英訳。19世紀ポルトガルの上流社会とその没落を通じて時代精神と家族の崩壊を描き、精緻な人物描写と社会批判で知られる大作を英語圏に紹介する訳業である。
ポルトガル語・スペイン語文学の英訳で国際的に評価される翻訳者。複数の重要な作品を英訳し、文学紹介に貢献している。
デュルス・グリュンバインの詩選集の英訳。歴史的省察や個人的記憶、断片的イメージを通じて現代ドイツ詩の多層性を示す。訳者は原詩の語感とリズムを英語で再現することを目指している。
ドイツ語圏文学の英訳で名高い詩人・翻訳家。複数回にわたり翻訳賞を受けている。
マグダ・サーボーの代表作の英訳。主人公とその家政婦をめぐる微妙な関係を軸に、記憶、秘密、信頼、個人史と社会変容を描き出す。緊張感と親密さが同居する心理的長編である。
ハンガリー文学の英訳で知られる翻訳者。特にマグダ・サーボー作品の英訳で高い評価を得ている。
テオドール・シュトルムの作品の英訳。地方社会の人間模様や倫理的葛藤を繊細に描き出す物語で、個々の選択と社会的圧力が人物の運命を形作る様を描く作品の英訳である。
ドイツ語文学の英訳に携わる翻訳者。伝統的なドイツ文学作品の英訳で評価されている。
エルンスト・ユンガーによる第一次世界大戦の戦場記録の英訳。激烈な戦闘体験を詩的かつ冷徹に記述し、戦争の暴力性と兵士の感覚、近代性の断面を示す記録文学として知られる。
ドイツ語圏の文学を英訳する詩人・翻訳家。ドイツ語作品の翻訳で広く評価されている。
ダンテ『神曲』の第一部『地獄篇』の英訳。罪を犯した魂たちが地獄の階層を巡る叙事詩で、中世的世界観と倫理観を壮大な物語として描き出す。訳者は原文の韻律と語感を現代英語で再現しようと試みる。
北アイルランド出身の詩人・作家で翻訳家。音楽的な言語感覚と技巧的な詩作で知られ、古典の英訳にも成果がある。
ミクローシュ・バーンフィの作品の英訳で、第一次世界大戦前後のトランシルヴァニアを舞台に没落する貴族社会の衰退と歴史の転換を描く叙事的長編。個人の運命と社会変容を重層的に示す作品の英訳である。
ハンガリー語文学の英訳に関わった翻訳者(共訳者)。
ミクローシュ・バーンフィの作品の英訳で、第一次世界大戦前後のトランシルヴァニア貴族社会の没落と個人の運命を描く大河的物語。歴史と個人的物語が交錯する作品を英語圏へ紹介する訳業である。
ハンガリー文学の英訳に携わった翻訳家(共訳者)。
ジャン・ラシーヌによる古典悲劇『フェードル』の英訳。禁断の恋と誤認、運命の残酷さが主要主題であり、古典主義の様式で人間の情念と道徳的衝突を深く描く作品を英語読者に伝える訳作業である。
スコットランドの詩人で翻訳家。前衛的手法と幅広い題材で知られ、古典劇の翻訳にも取り組んだ。
ジョゼ・サラマーゴの長編(英訳)。行政機関に勤める主人公が偶然見つけた女性の記録を追ううちに、名前と存在の意味、個人と制度の関係を問い直す寓話的な物語。サラマーゴ特有の長い文体と風刺が際立つ。
ポルトガル語およびスペイン語文学の英訳で国際的に評価されるイギリスの翻訳者。サラマーゴらの英訳で知られる。
エウジェニオ・モンターレの詩集の英訳。20世紀イタリア詩を代表する詩篇を集成し、記憶、疎外、自然、時間といった主題を通じて個人と歴史の交錯を描く。象徴的イメージと抒情性が特徴。
アメリカの詩人・翻訳家・編集者。イタリア語詩の英訳で知られ、海外文学の英語圏紹介に貢献した。