ノイシュタット国際文学賞
のいしゅたっとこくさいぶんがくしょう
オクラホマ大学とWorld Literature Todayが主催する隔年の国際文学賞。作家の業績(生涯)を評価し、詩人・小説家・劇作家が対象。非公募で候補は選考委員の推薦によって選出される。
- 創設年
- 1969
- 主催
- University of Oklahoma; World Literature Today
- カテゴリー
- 詩・現代詩
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 隔年(2年に1回)
- 発表時期
- 10〜11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
University of Oklahoma と World Literature Today が主催する隔年の国際文学賞。1969年に Books Abroad International Prize for Literature として創設され、1976年に現在名へ改称した。詩・小説・戯曲のいずれにも開かれ、英語で読める代表的な作品がある存命作家が対象で、公募制ではない。受賞者には 50,000 ドル、銀製のワシの羽根のレプリカ、賞状が贈られる。
賞品
- 主賞品
- 銀のワシの羽(銀の羽根)、賞状、US$50,000
- 賞金
- 50,000 USD
- 銀のワシの羽(シンボル)
- 賞状
- Neustadt Prize Festivalでの授賞・名誉
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ノミネーション(指名) | 国際的なノミネータ/ジュリスト(各国の選考委員や指名者) | — | 候補者は公募ではなくジュリストの推薦によって選ばれる(非公開の指名プロセス)。 |
| 審議(選考) | 選考委員団(常に最低7名)による審議。審議は英語で行われる。 | — | 委員会内で候補を絞り込み、最終候補を選定する(内部審議)。 |
| 最終決定・発表 | 選考委員団(最終決定) | — | 受賞者はWorld Literature Today / Neustadt Prize公式サイトで公表され、授賞式はNeustadt Prize Festivalで行われることが多い。 |
選考基準
- 作家の全体的な文学的業績(生涯業績)に基づく評価
- 純粋に文学的価値(文学的優秀性)を重視
- 詩・小説・戯曲のいずれのジャンルも対象
- 審議には代表作の英訳が利用可能であること(審議言語は英語)
応募のヒント
推奨
- 代表的な業績の英訳を用意し、翻訳の可用性を高める
- 国際的なレビューや翻訳出版での露出を増やす
- 学術的・批評的評価を積み上げ、国際的評価を高める
注意
- 個人で応募しようとしない(本賞は公募ではなく推薦制)
- 自己推薦や直接の応募を期待しない
審査員から
- 評価は作家の全体的な業績に基づく
- 審議は英語で行われるため、代表作の英訳が審査に有用である
- ジャンルを問わず文学的価値を最優先する
関連の賞
- ノーベル文学賞 (Nobel Prize in Literature)
- NSK Neustadt Prize for Children's Literature
- 国際文学賞(例:Man Booker Internationalなど)
- World Literature Today関連の賞・企画
公式情報
http://www.neustadtprize.org/過去の受賞者
モーリシャスを拠点にフランス語で書き、植民地主義の遺産、ジェンダー、暴力、記憶のずれを鋭く掘り下げてきた作家の業績全体。小説、詩、短篇、エッセイをまたぐ広い仕事は、インド洋地域を代表する文学的な声として評価され、複数言語への翻訳を通じて読者を広げている。
作品群全体に、植民地主義の記憶と、女性をめぐる暴力や疎外への鋭い視線が通っている。
モーリシャス出身のフランス語作家。植民地主義の遺産、ジェンダーや社会的疎外を鋭く描く作品で国際的に注目される。実験的な文体と心理描写が特徴。
セネガルの小説家・劇作家・エッセイストとして、多言語での創作を重ねながら、植民地支配の記憶、民族間の緊張、歴史的暴力を描いてきた業績全体。小説『Murambi』に象徴される問題意識に加え、ウォロフ語での執筆や出版活動まで含む広い仕事が、アフリカ文学の重要な声として評価された。
歴史の暴力と記憶の継承を、複数の言語と形式にまたがる仕事の中で描き続けてきた。
セネガルの作家・劇作家・エッセイスト。フランス語やウォロフ語で執筆し、植民地支配の記憶やポストコロニアル社会の矛盾、民族的記憶と歴史の問題を作品で追究する。
アルバニア近代史を背景に、寓話と歴史のモチーフを通じて権力、検閲、記憶、暴力を描いてきた業績全体。小説、詩、エッセイ、戯曲にまたがる仕事は、全体主義下での生の条件を普遍的な問いへと引き上げたものとして評価されている。
権力と検閲の圧力を、寓話的な語りで歴史の記憶へと変えていく。
アルバニアを代表する作家で、寓話的かつ歴史的モチーフを用いながら権威主義や歴史の暴力を鋭く描く。国際的な翻訳と評価が高く、アルバニア文学の中心的存在である。
二〇一八年のノイシュタット国際文学賞は、エドウィージ・ダンティカの作品全体に授与された。ハイチの歴史、移民とディアスポラ、家族の記憶、政治的暴力の影を、小説・短編・随筆・児童文学にわたって描いてきた業績が評価された。
ハイチと移民の記憶を世界文学の声へとひらいた作家への作品全体の表彰。
ハイチ出身で米国を拠点に活動する作家。ハイチの歴史や移民経験、家族や記憶を繊細に描き、叙情的な語りと社会的洞察を兼ね備えた作品で国際的評価を得ている。
ユーゴスラビア解体とその後の民族主義を批判的に論じるエッセイや小説を多数発表。亡命と記憶、言語と文化の保存・変容を主題に、ユーモアと辛辣な社会批評を交えて文化的アイデンティティの問題を掘り下げる。政治と文学の接点を鋭く問う作風で国際的に評価されている。
クロアチア出身の作家・エッセイスト。ユーゴスラビア解体以降のナショナリズムや言説の暴力を批判的に検証し、亡命や記憶、文化的アイデンティティの問題を鋭く論じる作品で知られる。
ミア・クートゥの作品世界全体を対象にした国際文学賞で、特定の一冊ではなく作家の創作全体が評価された。
作家の到達点そのものを讃える賞。
モザンビークを代表する作家・詩人。ポルトガル語を基軸に土着の伝承や神話を織り込み、魔術的現実主義的手法で植民地主義の遺産や社会の再生を描く独自の文体で知られる。
近現代インドの社会的矛盾や個人の尊厳を丁寧に描く長篇群で知られる。政治的混乱、階級制度、宗教や共同体の葛藤を背景に人物の細やかな心理描写を積み重ね、人間的共感と社会的批評を融合させた物語を展開する。
インド出身のカナダの小説家。インド社会の不平等や日常の苦難を丁寧に描き、登場人物の尊厳と共同体の絆を主題に据えた長編で国際的評価を得る作家。
文化大革命後の現代中国詩を代表する詩人として、抑圧された記憶や亡命、個人史と政治的出来事の交差を詩で探究する。簡潔で象徴的なイメージや言語実験を用いて、個人の体験を時代の断面として詩化し、国外での翻訳や評価も得ている。
中国の詩人。文化大革命以後の世代を代表する詩人の一人で、個人的記憶と社会的トラウマを繊細な詩的言語で表現し、言語実験と抒情性を通じて現代中国の精神を描き出す。
グレースは、マオリ文化とその社会的現実を短編や長編で丁寧に描いたことにより評価された。土地や家族、伝承と現代社会の接点を描くことで、ニュージーランド文学における先住民の声を強く示した。
ニュージーランドのマオリ作家。先住民族であるマオリの生活や文化、土地との関わりを日常的な視点から描き、コミュニティと個人の衝突や伝承の継承を繊細に表現する作品で知られる。
アレグリアの業績は、中米における政治的抑圧や民衆の抵抗といった主題を詩的言語で表現した点にある。短詩や長詩、散文を通じて歴史と個人の経験を結びつける作品群が評価されている。
ニカラグア/エルサルバドル出身の詩人・作家。中米の政治的・社会的状況や抑圧、抵抗の日常を詩と小説で描き、倫理的・人道的視点を強く持つ作品で評価された。
ザガイェフスキの詩は、歴史的記憶や亡命、日常の中の存在を繊細に扱う。冷戦後の東欧の経験を背景にしつつ普遍的な思想と抒情を結びつけた作品群が高く評価されている。
ポーランドの詩人。歴史と記憶、個人の存在を静謐な詩語で探る作品で知られ、東欧の経験と普遍的な人間性を結ぶ力強い詩作で国際的に評価された。
ムティスは、詩と長編を横断する語りによって冒険・放浪・孤独を主題化した。代表的なシリーズには主人公マクロー(Maqroll)らをめぐる物語があり、ラテンアメリカ的寓意性と叙情性が特色である。
放浪と冒険の物語が、詩と小説をまたいで一つの神話になる。
コロンビアの詩人・小説家。寓意的で放浪的な物語性を持つ作品群で知られ、放浪者的な主人公を通じてラテンアメリカの歴史や孤独、旅を描いた作品が国際的評価を受けた。
マルーフの仕事は、個人的・集団的記憶を扱う叙事性と詩性の融合にあり、オーストラリアの地理や歴史を背景に人間の経験と文化的アイデンティティを探る作品群が評価された。
記憶と土地の交点から、人間のかたちを静かに掘り下げる。
オーストラリアの作家。詩と小説を横断しながら、記憶、文化、歴史、植民地の影響を繊細に描き出す。叙情性と歴史性を兼ね備えた文体で国際的評価を得ている。
1998年のニュースタット国際文学賞は、ヌルディーン・ファラーの作家活動全体に対して授与されたもので、単一の受賞作を特定する対象ではない。
個別作品ではなく、長年の創作活動そのものが評価された。
ソマリア出身の国際的に著名な小説家。家族や国民のアイデンティティ、政治的混乱や移動の問題を扱う長編で知られ、語りの多声性と社会批評的視点が特徴である。
アシア・ジェバールの単一作品を対象とする受賞ではなく、作家としての全業績をたたえる表彰。アルジェリアとフランスをまたぐ歴史的経験と女性の声を重ねた作品群が評価された。
一冊ではなく、長い作家人生そのものをたたえる授賞。
アルジェリア出身の作家で、女性の視点や植民地主義後の歴史・記憶を主題にフランス語で執筆した。女性の声と沈黙を掘り下げる作品で国際的に高い評価を受けた。
ブラースウェイトの業績は、カリブ海地域の歴史と文化的アイデンティティの探究にある。口承やリズムを詩作に取り入れ、ポスト植民地的視点から歴史と記憶を問い直す作品群で国際的に評価された。
声のリズムと記憶の政治性が、カリブの歴史を詩に変える。
カリブ地域を代表する詩人であり評論家。植民地主義の遺産、カリブの歴史と文化、言語と口承の問題を詩とエッセイで深く探求し、リズムと声に重点を置いた革新的な詩作で知られる。
カブラウは、感情に訴える叙情性よりも構築と倫理性を重視する詩風で知られる。都市や労働、社会的現実を素材に、言語の冷徹な操作によって詩的効果を生み出すことにより、ブラジル現代詩の重要な位置を確立した。
構築の厳密さで、社会と労働の現実を詩へと結晶させた。
ブラジルを代表する詩人。冷静で構造的な詩作を通じて都市や労働、社会的現実を客観的・倫理的に描き出すことが特徴。言語の配置と形式への厳格さで国際的にも注目された。
トーマス・トランストロンメル(1931–2015)はスウェーデンを代表する詩人であり、1990年のノイシュタット国際文学賞は特定の一作ではなく、その生涯にわたる詩業全体に対して授与された。1954年の処女詩集『17篇の詩』から始まり、10冊以上の詩集にわたって、夢と現実の境界、自然と人間の内面、記憶と時間の流れを透明な言語で描き続けた。60以上の言語に翻訳され、後の2011年にはノーベル文学賞を受賞している。
夢と覚醒の境界、自然と内面の深部を、透き通るような言語で照らし出す詩業が高く評価された。
スウェーデンを代表する詩人。凝縮されたイメージと言語の精緻さで自然や記憶、時間、沈黙といった主題を詩的に探求し、国際的に高い評価を受けた。1990年にその生涯の業績が評価されノイシュタット賞を受賞した。
インドの精神性と哲学的探求を主題にした長編で、東西文化の接点や自己探求を描く。神秘主義的要素と深い哲学的対話を通じて存在と結びつきの意味を問いかける物語である。
旅と思索が重なり、自己探求の道筋がゆっくり開いていく。
インド出身の英語作家。伝統的インド文化と現代の精神的探求を文学の中心に据え、東西の思想的対話を文学的に表現した作品で知られる。
合理主義的な技術者を主人公に、合理性と偶然、過去の抑圧が交錯する物語を描く長編。技術中心の世界観と人間の感情・偶然性の衝突を通じてアイデンティティを問う。
合理性への信頼が、偶然と記憶の前で揺らいでいく。
スイスの小説家・劇作家。個人のアイデンティティや社会的責任、技術と人間性の問題を探る作品で国際的な評価を受けた。
ハーヴィッコの詩作全体を代表する詩篇を集めたイメージの強い作品群。歴史的・政治的主題と個人的記憶を往復しつつ、言語の形式実験と象徴的イメージで独自の詩世界を構築する。
断片と象徴が重なり、フィンランド詩の核が立ち上がる。
フィンランドの詩人・劇作家。言語実験的な詩作と歴史や政治を扱う広範な主題により、フィンランド現代詩の重要な位置を占める作家。
メキシコの歴史と文化、国民性に内在する孤独の構造を詩的散文で考察する代表的エッセイ集。個人と集団の心理、記憶と歴史の絡み合いを深く掘り下げる思索的著作である。
メキシコの孤独をめぐる思索が、歴史と記憶の層を照らす。
メキシコの詩人・エッセイスト。詩的かつ哲学的な思索を通じて文化・歴史・個人の関係を探求し、1990年にノーベル文学賞を受賞した国際的な知識人である。
戦時期の混乱と若者たちの倫理的葛藤を描く長編。逃避や臆病さを通じて個人の良心と共同体の期待が衝突する様をユーモアと辛辣さを交えて描写する作品。
ジャズと若さのざわめきの中で、戦後社会の重さが顔を出す。
チェコ出身の小説家・編集者。ユーモアと皮肉を交えつつ政治的・社会的テーマを描いた作品群で知られ、カナダ移住後も東欧文学への重要な貢献を続けた。
共産主義体制下での知識人の精神的・倫理的変容を分析した随筆的著作。イデオロギーに屈する過程や抵抗の条件を鋭く描き出し、政治と文化の関係を問う。
イデオロギーに押し流される知性の危うさを、冷徹に見つめる。
ポーランドの詩人・エッセイスト。政治的抑圧や歴史の重みを主題にした作品で国際的に評価され、1980年にノーベル文学賞を受賞した。
地理的・感情的な距離感を背景に、自然や日常の細部を緻密に描写する詩集。個人の記憶や観察を通じて、静かな叙情性と深い内省を表現している。
自然と記憶の細部が、静かな観察の中で内面の深さへとつながる。
アメリカの詩人・短編作家。精密で抑制の効いた観察表現を特徴とし、自然や旅、記憶を通じて普遍的な感情を繊細に描き出す作品で知られる。
日常のものを鮮やかな言葉で見つめ直す、フランシス・ポンジュの代表的詩集。
身近なものを、言葉の精度でまったく新しく見せる。
フランスの詩人・エッセイスト。日常の具体物を題材にした散文詩で知られ、言語と対象の関係を細やかに吟味する作風で高く評価された。
架空の町マコンドを舞台に、ブエンディア家の数世代にわたる興隆と没落を描く叙事的長編。神話的要素と歴史的事件を魔術的リアリズムで織り交ぜ、記憶・孤独・歴史の循環を描き出す。
マコンドという架空の町から、家族史が一つの世界史へと広がっていく。
コロンビアの小説家。魔術的リアリズムを代表する作家で、ラテンアメリカ文学を国際的に知らしめた。代表作『百年の孤独』などで世界的評価を得ている(1982年ノーベル文学賞受賞)。
第一次世界大戦などの経験を背景に、断片的で凝縮された短詩を集めた詩集。言葉を削ぎ落とすことで生じる強い情感と、戦争・喪失・再生といった主題の簡潔な表現が特徴である。
戦争体験から生まれた凝縮された短詩群が、言葉の限界まで感情を削り出す。
イタリアの詩人。20世紀イタリア詩を代表するモダニストの一人で、短詩の凝縮された表現によって戦争や存在の主題を詩化した。代表作に詩集『L'Allegria』などがある。