PEN翻訳賞(旧称: PEN/Book-of-the-Month Club Translation Prize)
ぺんほんやくしょう
英語への優れた書籍翻訳に贈られる、PEN America主催の年次翻訳賞。
- 創設年
- 1963
- 主催
- PEN America(旧称:PEN American Center)。歴史的にBook of the Month Clubが協力・協賛していた時期あり
- カテゴリー
- 研究・翻訳・学術
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 3月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
PEN Translation Prize(旧称: PEN/Book-of-the-Month Club Translation Prize)は1963年創設の年次賞で、米国内で当該年に刊行された英語への書籍翻訳を対象にPEN Americaが授与する。翻訳の文学的優秀性を評価し、受賞者には現金3,000米ドルが贈られる。米国における翻訳者を顕彰する最初期の賞の一つとされる。PEN Award for Poetry in Translationとは別枠の賞で、PENの多数の文学賞の一つとして運営されている。
賞品
- 主賞品
- 翻訳者に授与される現金賞(USD $3,000)
- 賞金
- 3,000 USD
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 応募受付・資格確認 | PEN America事務局(応募作品が対象年に米国で刊行されているか等の資格を確認) | — | — |
| 一次選考(候補リスト作成) | 選考委員(PENが指名する翻訳の専門家による委員会) | — | — |
| 最終選考(受賞者決定) | 選考委員による討議と投票(毎年メンバーは異なる) | — | PEN Americaのプレスリリース・ウェブサイトおよび授賞式で発表(通常2〜3月頃) |
選考基準
- 翻訳の文学的優秀性(文体・表現の質)
- 原作に対する忠実さと創造的な再現
- 英語としての自然さと読みやすさ
- 米国で当該年に刊行された書籍であること
応募のヒント
推奨
- 米国で当該年に刊行された書籍版の翻訳を提出する(出版情報を明記)
- 翻訳箇所の最終校正を行い、文体と誤字脱字をチェックする
- 翻訳者プロフィールや翻訳方針(訳注など)を添えて背景を説明する
- 出版社や刊行情報、ISBNなどの必要情報を整えて提出する
注意
- 未完の草稿や未刊行の原稿を提出しない
- 出典や刊行情報を不完全に記載しない
- 原文や訳権の問題が解決していない作品を提出しない
審査員から
- 翻訳の文学性(文体・音色・創造性)を重視する
- 原文への理解と英語での再現を両立させることが評価される
- 出版社情報や刊行年を明確に示し、読み手に対する配慮を忘れないこと
関連の賞
- PEN/Heim Translation Fund Grants
- PEN Award for Poetry in Translation
- PEN America Literary Awards(その他のPEN賞)
公式情報
https://pen.org/literary-award/pen-translation-prize-3000/過去の受賞者
ミケーレ・マリ(Michele Mari)の原著『Verderame』(原題、イタリア語)の英訳版。英訳として評価されPEN翻訳賞を受賞した作品の英訳。
イタリア語から英語への翻訳を手掛ける翻訳家。Michele Mariの作品の英訳でPEN Translation Prizeを受賞した。
ブディ・ダルマ(Budi Darma)の原著『Orang-orang Bloomington』(原題、インドネシア語)の英訳版。英訳作品としてPEN翻訳賞を受賞した。
翻訳家。Budi Darmaのインドネシア語作品を英訳し、PEN Translation Prizeを受賞した。
Mariana Oliverの原著『Aves migratorias』(原題、スペイン語)の英訳版。英訳として評価されPEN翻訳賞を受賞した作品の英訳。
スペイン語から英語への文学翻訳者。Mariana Oliverの作品の英訳でPEN Translation Prizeを受賞した。
アブデラ・タイア(Abdellah Taïa)の原著『Un pays pour mourir』(原題、フランス語)の英訳版。英語圏での紹介によりPEN翻訳賞を受賞した英訳作品。
フランス語から英語への文学翻訳者。アブデラ・タイアの作品を英訳し、PEN Translation Prize(PEN/Book-of-the-Month Club Translation Prize)を受賞した。
川上弘美による連作短篇集で、主人公ニシノユキヒコと彼をめぐる複数の恋と出会い、別れを通じて孤独や愛の多面性を繊細に描く。ユーモアと哀愁が同居する短篇群。
日本語文学の英訳を手がける翻訳者。川上弘美の短篇連作集『The Ten Loves of Nishino』の英訳でPEN翻訳賞を受賞。
ハンネ・オアストヴィクの小説で、母と子の関係や依存、孤独を抑制された筆致で描く心理的作品。言葉の余白が不安と親密さを同時に照らし出す。
ノルウェー文学の英訳を手がける翻訳者。ハンネ・オアストヴィク(Hanne Ørstavik)の『Love』の英訳で受賞。
マグダ・サボーの代表作で、幼なじみの女性たちを軸に封印された過去と秘密が徐々に明らかになる心理的長編。友情、喪失、歴史の影響が静かに響く物語。
ハンガリー文学の英訳で知られる翻訳者。マグダ・サボー(Magda Szabó)の『Katalin Street』の英訳で受賞。
半自伝的な長編で、オーストリアのカリンティア地方に生きる少数民族の記憶とトラウマを家族史の語りを通じて描く。戦争や民族間の緊張、人間の沈黙が主要テーマ。
ドイツ語圏の文学を英訳する翻訳家。マヤ・ハデルラップ(Maja Haderlap)の『Angel of Oblivion』の英訳で受賞。
クラリス・リスペクトールの短篇を集めた作品集。内的な意識の動きや言語の実験性を通じて存在の不確かさや感情の機微を描く、詩的で挑発的な短篇群。
ブラジル文学の英訳などで知られる翻訳者。クラリス・リスペクトールの短篇集『The Complete Stories』の英訳で受賞。
ナヤ・マリー・アイドによる短編集。家族や日常に潜む不安や暴力、喪失を冷徹かつ詩的な視点で描き出し、登場人物の心理の裂け目を鋭く照射する短篇群。
デンマーク語文学の英訳を手がける翻訳者。ナヤ・マリー・アイド(Naja Marie Aidt)の『Baboon』の英訳で受賞。
シギズムンド・クジザーノフスキーの幻想的で諧謔的な作品群。生と死の逆転やアイデンティティの揺らぎを題材に、形式的な実験と哲学的な諷刺を含む短篇・断片が並ぶ。
ロシア語文学の翻訳に携わる翻訳者。シギズムンド・クジザーノフスキー(Sigizmund Krzhizhanovsky)の『Autobiography of a Corpse』の共訳で受賞。
シギズムンド・クジザーノフスキーの幻想的で諧謔的な作品群。生と死の逆転やアイデンティティの揺らぎを題材に、形式的な実験と哲学的な諷刺を含む短篇・断片が並ぶ。
ロシア文学の翻訳を手がける翻訳者。クジザーノフスキーの『Autobiography of a Corpse』の共訳によりPEN翻訳賞を受賞。
アルベルト・ヴィゴライス・テーレンの大作で、孤島を舞台に人間の運命や記憶、アイデンティティを繊細かつ寓話的に描く長編。ユーモアと哀歓が混じる語りが特徴。
ドイツ語圏文学の翻訳者。アルベルト・ヴィゴライス・テーレンの作品『The Island of Second Sight』の英訳で受賞。
ヴィスワフ・ミシュリフスキの長編で、ポーランドの地方社会を舞台に世代を超えた家族の物語や歴史的変遷、記憶の継承を重層的に描く。方言や語りの特色が作品に深みを与える。
ポーランド文学の英訳で知られる翻訳者。ヴィスワフ・ミシュリフスキ(Wiesław Myśliwski)の長編『Stone Upon Stone』の英訳で受賞。
マフムード・ダルウィーシュの詩集。日常的な悲しみや喪失、故郷への想いと政治的記憶が交差し、個人的な感情と集団的な歴史が繊細な言葉で表現される。詩的イメージと抒情性が際立つ。
アラビア語文学の翻訳者。マフムード・ダルウィーシュの詩集『Journal of an Ordinary Grief』の英訳でPEN翻訳賞を受賞。
ヒューゴ・クラウスの『Wonder(De verwondering)』は、日常の細部や人間関係を通じて感じる驚きと感受性を繊細に描く作品。個人の感情の変化や社会的背景が折り重なり、フラマン文化の諸相をにじませる文学的作品である。
多言語の翻訳家で東欧・西欧文学の英訳に定評がある。幅広い言語・作家の翻訳を手掛けた。
ロベルト・ボラーニョの『2666』は、複数の部に分かれた壮大な長編で、失踪事件や連続殺人、文学と歴史の断片が複雑に交錯する。メキシコ北部の暴力問題とヨーロッパ知識人の物語を結びつけながら、現代社会の闇と人間存在の不安定性を描き出す作品である。
スペイン語圏の現代文学(特にロベルト・ボラーニョ)の英訳で知られる翻訳者。『2666』の英訳で国際的注目を集めた。
エサ・デ・ケイローシュの『The Maias(Os Maias)』は、19世紀末ポルトガルの名家の没落を描く大河的小説。世代を超えた恋愛とスキャンダル、社会的虚栄や道徳の崩れを通じて時代の変容と登場人物の悲喜を鋭く描写する社交小説の傑作である。
ポルトガル語・スペイン語文学の英訳で知られる著名な翻訳家。多数のポルトガル・スペイン語作家の代表作を英訳している。
イレーヌ・ネミロフスキーの『Suite française』は、第二次世界大戦下のフランス占領期における人間模様と日常の断片を描いた未完の連作。都市から逃れた人々や占領下で生じる倫理的選択、愛情や共同体の危機を鋭く描写する。
フランス語文学の英訳に携わった翻訳家。詳細な経歴情報は限定的。
村上春樹の『海辺のカフカ(Kafka on the Shore)』は、15歳の少年と中年の男性という二つの語りが交錯する長編で、現実と幻想、記憶と運命、自己の探求を主題とする。神話的要素や音楽、不可解な出来事が物語を牽引し、多層的な解釈を促す作品である。
日本語から英語への翻訳者で、村上春樹の主要な英訳者の一人。学術的背景も持ち、複雑な文学テクストの英訳で知られる。
イムレ・ケルテースの『Fatelessness(Sorstalanság)』は、少年の視点からホロコーストと強制収容所での経験を描いた半自伝的長編。日常の崩壊と生存者の心理、運命の意味を問いかける作品で、個人的記憶と歴史的事実の交錯を通して読む者に強い印象を残す。
ハンガリー語から英語への翻訳を行う翻訳家。イムレ・ケルテースなどハンガリー文学の作品を英訳している。
アントニオ・ムニョス・モリーナの『Sepharad(Sefarad)』は、過去と現在を交差させながらスペインにおける記憶とユダヤ人史の痕跡を描く作品群。歴史的追憶、個人の喪失、文化的アイデンティティの探求が主題となり、記憶の力と世代を超えたつながりを問いかける。
スペイン語文学(特にスペイン・ラテンアメリカ作品)の英訳で知られる翻訳家。多くの作家の英訳を手掛けている。
チェーザレ・パヴェーゼの『月と焚火(La Luna e i falò)』は、故郷に帰った男が戦後の村や過去の記憶と向き合う物語。孤独、郷愁、喪失、再会といったテーマを静謐な筆致で描き、戦後イタリアの変容と個人史の交差を探る作品である。
訳者情報は限られている。チェーザレ・パヴェーゼなどイタリア文学の英訳に携わった翻訳者。
トルストイの代表作。19世紀ロシア社会を背景に、主人公アンナの情熱的な不倫とそれに伴う破滅を軸に、愛と道徳、家族や社会の規範を多面的に描く大河小説。多数の人物描写を通じて当時の階級構造や人間心理が詳細に掘り下げられる。
ロシア文学の英訳で知られる翻訳家。Larissa Volokhonskyとの共訳でドストエフスキーやトルストイの新訳を手掛け評価を得た。
トルストイの代表作。19世紀ロシア社会を背景に、主人公アンナの情熱的な不倫とそれに伴う破滅を軸に、愛と道徳、家族や社会の規範を多面的に描く大河小説。多数の人物描写を通じて当時の階級構造や人間心理が詳細に掘り下げられる。
ロシア語から英語への翻訳家。Richard Pevearと共同で数多くのロシア文学作品の現代的英訳を行い、国際的に評価されている。
シグリッド・ウンセットの『十字架(Korset)』は、信仰・罪・贖罪を巡る重厚な物語。登場人物の内面的葛藤と人間関係を通して、ノルウェー社会に根付く宗教的倫理や伝統が個人の選択に与える影響を繊細に描写する。家族や愛、社会的期待が交錯し、救済と自己理解を問いかける作品である。
アメリカの翻訳家。スカンジナビア(特にノルウェー)文学の英訳で知られる。シグリッド・ウンセットなど北欧作家の訳業で高い評価を得ている。
ジェラール・ド・ネルヴァルの詩や散文を収めた選集。夢や幻想、メランコリーを特徴とする作品群を通じてロマン主義的感性を示す。訳は原作の詩的世界と象徴性を現代英語で再構築することを目指す。
ジェラール・ド・ネルヴァルの著作選『Selected Writings』の英訳で受賞した翻訳家・研究者。フランス文学の翻訳で知られる。
ヨーゼフ・ロートの物語的作品群を英訳したもの。移民や放浪、時代の断絶と個人の哀愁が織り交ざる語りを特徴とし、幻想的な要素と現実描写が併存する。訳は原文の抒情とリズムを活かすことを目指す。
ヨーゼフ・ロートの作品『The Tale of the 1002nd Night』の英訳で受賞した詩人兼翻訳家。抒情的な語りを英語に移す仕事で知られる。
トーマス・マンの初期短編を収めた選集。若き日のテーマ探求や文体の萌芽が見られ、人間心理や社会的風刺、寓意的な構成が特徴。訳は原作の語り口と象徴性を英語で伝えることを目指す。
トーマス・マンの初期短編を集めた『Six Early Stories』の英訳で受賞した翻訳家。初期作品の文体を英語で再現することに貢献した。
ゴッホの手紙を編んだ書簡集で、制作過程や色彩論、精神状態、弟テオとの関係などが率直に綴られる。芸術家の内面と創作の実践が生き生きと伝わる一次資料であり、訳は原文の親密さを保持することを旨とする。
フィンセント・ファン・ゴッホの書簡集『The Letters of Vincent van Gogh』の英訳で受賞した翻訳家。
ヴィスワワ・シンボルスカの詩を収めた詩集。日常の細部から普遍的な哲学的洞察を引き出す短詩が並び、機知と冷静な観察、存在への洞察が特色。共訳は原詩の簡潔さとアイロニーを再現することを目指す。
ヴィスワワ・シンボルスカ(Wisława Szymborska)の詩集『View With a Grain of Sand』の英訳でクレア・キャヴァナと共に受賞した詩人兼翻訳家。
短詩を通じて日常の光景から哲学的・倫理的な問いを抽出するシンボルスカの詩集。訳は詩の簡潔さと含意を保持しつつ英語読者に届けることを志向している。
スタニスワフ・バランチャクと共にシンボルスカ詩集の英訳で受賞した翻訳家/学者。詩の語感と意味の両立を重視する訳業で知られる。
北宋の詩人蘇軾(蘇東坡)の代表的詩篇を英訳・編纂した詩集。自然や人生観、郷愁、政治観察など多彩な主題を含む詩群を通して、中国古典詩の簡潔で深い情感を伝える選集である。
宋代の詩人蘇軾(蘇東坡)の詩を英訳した『Selected Poems of Su Tung-p'o』の翻訳で受賞した翻訳家。
アンドレ・ブルトンの『Clair de terre』(英題:Earthlight)は、シュルレアリスム的な詩的散文を収めた作品で、夢や無意識をめぐるイメージの連鎖が特徴。英訳は原文の詩的語感と実験性を伝えることを目指す。
アンドレ・ブルトンの作品集(Clair de terre / Earthlight)の英訳でザック・ロゴウと共に受賞した詩人兼翻訳家。
シュルレアリスムの詩的散文を英語で再現する試み。訳は原文の夢的イメージと詩的実験性を維持しつつ英語読者に届けることを目指している。
ビル・ザヴァツキーと共訳し、アンドレ・ブルトンの『Earthlight』の英訳で受賞した翻訳家・詩人。
18世紀ポーランドの作家クラシツキによる風刺的長編で、主人公ニコラスの旅と経験を通じて当時の社会慣習や啓蒙的価値観を問い直す。訳は原文のユーモアと風刺を英語で伝えることを志向している。
イグナツィ・クラシツキの作品『The Adventures of Mr. Nicholas Wisdom』の英訳で受賞した翻訳家(ウィキページは存在しない記録)。
ヘブライ語聖書の詩篇や預言詩を詩人の視点で英訳・編集した作品。原語の韻律や音感、象徴性を重視しつつ現代英語の詩として再構築し、宗教テキストに新たな詩的解釈を提示する試みである。
ヘブライ語の詩テクストを詩的視点で英訳・編纂した『A Poet's Bible』の翻訳により受賞した詩人兼翻訳家。
19世紀ロシアを舞台に、父親殺しを巡る疑惑とそれに伴う信仰・倫理・自由意志の論争を描く長篇。三人の兄弟を通して家族関係や人間の罪と贖罪、信仰と懐疑が重層的に展開する文学的巨編。
ドストエフスキー『兄弟カラマーゾフ』(The Brothers Karamazov)の英訳でラリッサ・ヴォロホンスキーと共に受賞した翻訳家。
ドストエフスキーの代表作を英語圏の読者に再提示する翻訳。宗教的・倫理的な論争と家族の葛藤を克明に伝え、原作の哲学的深度と人物描写を英語で再現することを目指す共訳。
リチャード・ピーヴァーと共訳し、ドストエフスキー『兄弟カラマーゾフ』の英訳により本賞を受賞した翻訳家。
ウンベルト・エーコの長篇の英訳。陰謀論や象徴学、秘儀的知識を巡る知的なゲームが次第に現実を侵食していく様を描く複雑な小説で、引用や言葉遊びの多い原文を英語読者に読みやすく解きほぐした翻訳である。
アメリカの翻訳家(イタリア文学の英訳で特に著名)。エーコをはじめとするイタリア語作家の英訳を通じて、多くの作品を英語読者に紹介した。
アルベール・カミュの代表作『異邦人』の英訳。アルジェリアを舞台に、主人公ムルソーの無関心さと社会からの疎外を通じて不条理や存在の意味を問いかける作品の精神を、簡潔な文体を保ちながら英語で伝える翻訳である。
アメリカの翻訳家。フランス語文学の英訳で知られ、特にカミュのようなモダニスト作品の明快で正確な英訳に定評がある。
イダ・フィンクによる短篇集の英訳。ホロコーストと戦後の記憶、喪失を静謐かつ痛切に描いた短篇群を英語に移し、記憶の断片性と倫理的な問いを英語圏の読者に提示する翻訳である。
アメリカの翻訳家・編集者。文学作品の英訳に携わり、特に中欧・東欧出身作家の作品を英語圏に紹介する活動を行っている。
(同上)イダ・フィンクの短篇集を英訳。語り手の微妙な感情や生の断片を繊細に英語へ移し、ホロコースト後の記憶とその語り方について深い示唆を与える。
アメリカの小説家・批評家であり翻訳にも携わる作家。アメリカ文学界で広く知られる存在で、英訳や評論を通じて国際文学の紹介にも寄与している。
パトリック・ジュースキントの長篇の英訳。18世紀フランスを舞台に嗅覚に卓越した主人公が究極の香りを求めて次第に凶行へと向かう過程を描く。嗅覚中心の異色の視座と狂気の描写を英語で鮮烈に再現する翻訳。
アメリカの翻訳家。主にドイツ語から英語への翻訳で知られ、ドイツ語圏の文学を英語圏へ紹介する仕事を行っている。
マヤの創世叙事詩『ポポル・ヴフ』の英訳。古キチェ語のテキストを注釈とともに現代英語に移し、創造神話や英雄譚、文化的世界観を学術的かつ文学的に伝える重要な翻訳である。
アメリカの人類学者であり翻訳家。マヤ語の文献研究と翻訳で知られ、先住民叙事詩などの英訳を通じて中米の文化を紹介した。
マルグリット・デュラスの自伝的長篇の英訳。断片的で抑制的な文体を特徴とし、若い女性の情欲と記憶の揺らぎを描く原作の微妙な語感と抒情性を英語で再現する翻訳である。
イギリス出身の翻訳家・編集者。フランス語文学の英訳で知られ、デュラスなどの現代作家の作品を英語圏に紹介する役割を果たした。
アイルランド伝承に基づく詩篇の英訳。放浪者スイーヴィンの嘆きや自然との関わりを、古い語感を残しつつ現代英語へ再構築しており、神話性と個人的悲哀を行間に漂わせる詩集として読者に強い印象を与える。
北アイルランド出身の詩人・翻訳家。現代詩における巨匠であり、古典や民謡の翻訳も手がける。深い言語感覚と伝統への造詣で知られる(1995年ノーベル文学賞受賞)。
マリオ・バルガス・リョサの史詩的長篇を英訳。19世紀末ブラジルのカヌードス蜂起を背景に、宗教的狂信や政治的混乱、個人の野心と破滅を群像で描き出す作品を、複雑な語りと歴史描写を損なわず英語に移した翻訳。
アメリカの翻訳家。ラテンアメリカ文学を中心に数多くの作品を英訳し、現地語の文体や文化的文脈を英語へ伝える仕事で知られる。
ウンベルト・エーコによる歴史的ミステリ長篇の英訳。中世修道院を舞台に、写本や宗教的論争を巡る謎解きと連続殺人が絡み合い、記号学的・哲学的な問いを織り交ぜた物語を英語読者に紹介する翻訳。
アメリカの翻訳家。特にイタリア文学の英訳で知られ、エーコやカルヴィーノなど多くの作家を英語圏へ紹介した功績で評価された。
モリエールの代表的な四つの喜劇(『人嫌い』『タルテュフ』『学識のある女たち』『女学校』)を英訳した作品集。原作の鋭い風刺や台詞のリズム、人物描写を丁寧に再現し、古典フランス演劇の社会批判を英語圏の読者に伝える。
アメリカの詩人・翻訳家。自身の詩作で高い評価を受けるとともに、フランス古典の英訳でも知られる。1983年にモリエールの喜劇集の英訳で本賞を受賞した。
日本詩を時代横断的に編んだアンソロジーの英訳。万葉から近代・現代詩まで幅広い時代の詩を収録し、形式やリズム、文化的背景を考慮しつつ英語読者に伝えることを目指す。日本詩の多様性と歴史的連続性を示す翻訳集である。
日本詩の英訳で知られる翻訳者・詩人。本アンソロジーの共訳者として日本詩を英語圏へ紹介した。
日本詩を時代横断的に編んだアンソロジーの英訳。万葉から近代・現代詩まで幅広い時代の詩を収録し、形式やリズム、文化的背景を考慮しつつ英語読者に伝えることを目指す。日本詩の多様性と歴史的連続性を示す翻訳集である。
東洋古典の英訳で高く評価された翻訳者・学者。本アンソロジーの共訳者として日本詩を英語圏へ紹介した。
アルノ・シュミットの小説『Evening Edged in Gold(Abend mit Goldrand)』の英訳。実験的な語りや言語遊戯が特徴で、記憶や時間の断片化を通じて存在の不確かさを描く前衛的な作風を英語圏に紹介する。
ドイツ語圏文学の英訳で知られる翻訳者。アルノ・シュミットなどの英訳で評価を得ている。
ヴァスコ・ポパ(Vasko Popa)の詩集『Homage to the Lame Wolf』の英訳。民俗的モチーフと寓話的イメージを融合した短い断章的詩を通じて、記憶や歴史、存在の象徴的側面を簡潔に表現する独特の詩世界を英語へ伝える。
セルビア系アメリカ人の詩人で翻訳者。ヴァスコ・ポパらの詩の英訳で知られる。
エウジェニオ・モンターレの詩集『The Storm and Other Poems(La bufera e altro)』の英訳。戦争や喪失、記憶や自然の不安定さを象徴的かつ凝縮された詩で表現し、モンターレ特有の難解で象徴主義的な詩世界を英語圏に紹介する。
アメリカの詩人で翻訳・詩作両方で知られる人物。エウジェニオ・モンターレの詩の英訳で受賞。
Leonardo Sciasciaの小説『Todo modo』の英訳。イタリア社会の権力構造や宗教的権威に対する辛辣な風刺と、ミステリ的要素を兼ね備えた政治小説で、エリートの腐敗や倫理の崩壊を批評的に描く作品を英語圏に紹介する。
ガブリエル・ガルシア=マルケスの長編『The Autumn of the Patriarch(El otoño del patriarca)』の英訳。独裁者の孤独と権力の腐敗を詩的かつ長文的な語りで描き、歴史・記憶・権力の寓意を幻想的に表現する作品で、翻訳は原文の奔放な文体を英語へ移し替える試みである。
ガブリエル・ガルシア=マルケスなどラテンアメリカ文学の英訳で高く評価された翻訳者。
E. M. チョーラン(Emil Cioran)による哲学随想集『A Short History of Decay(Précis de décomposition)』の英訳。虚無や衰退、存在の不条理について断片的な思索を展開する短文群で構成され、冷徹な省察と文体の鮮烈さが特徴である。
アメリカの詩人で翻訳者。フランス語圏の思想家や作家の英訳で知られ、本賞ではCioranの英訳で受賞。
フアン・ゴイティソロの小説『Count Julian(Reivindicación del conde don Julián)』の英訳。スペインの歴史やナショナリズムへの挑発的な批評を含み、亡命や疎外、歴史と性的政治をめぐる実験的で挑戦的な語りを特徴とする作品を英語圏に紹介する。
スペイン語圏文学の英訳で知られる翻訳者。フアン・ゴイティソロの英訳で受賞。
ホセ・ドノソの実験的長編『The Obscene Bird of Night(El obsceno pájaro de la noche)』の英訳。現実と幻想が交錯する語りで家族の崩壊やアイデンティティの崩壊、権力と抑圧の主題を暗喩的に描く。象徴的で難解な作風を英語圏へ紹介する。
ホセ・ドノソの代表作の英訳を手がけた翻訳者。
ホセ・ドノソの実験的長編『The Obscene Bird of Night(El obsceno pájaro de la noche)』の英訳。現実と幻想が交錯する語りで家族の崩壊やアイデンティティの崩壊、権力と抑圧の主題を暗喩的に描く。象徴的で難解な作風を英語圏へ紹介する。
ホセ・ドノソ作品の英訳に関わった翻訳者。
ローマの叙情詩人セクストゥス・プロペルティウスの詩編を英訳した作品集。愛と嫉妬、失恋などの個人的感情をエレジー形式で繊細に描きつつ、神話的モチーフやローマ社会の諷刺を織り込む。古典詩の音韻と意味を現代英語に伝える試みである。
セクストゥス・プロペルティウスのラテン詩を英訳した翻訳者。本賞はその英訳に対して与えられた。
トーマス・マンの書簡集の英訳。作家の私的な交流や文学的・政治的な思索が反映された手紙群を編纂・翻訳し、マンの思索や時代背景、同時代の知識人との交流を通じて20世紀の文化的動向を浮き彫りにする貴重な資料である。
文学作品や書簡の英訳に携わった翻訳家。
トーマス・マンの書簡集の英訳(共同訳)。マンの個人的・文学的関心が反映された書簡を通じて、時代背景や文化的ネットワークを明らかにする翻訳作業である。
共同で書簡集などの翻訳を手掛けた翻訳家。
ナデジダ・マンドルスタムの回想録『Hope Against Hope』の英訳。詩人オシップ・マンドルスタムとその家族がソ連体制下で受けた迫害とそれに抗う記憶を克明に綴り、個人の証言を通じて体制の暴力と歴史の傷跡を明らかにする作品である。
ロシア文学の英訳で知られる翻訳家。
フランチェスコ・グイチアルディーニの史書『Storia d'Italia』(英題:The History of Italy)の英訳。ルネサンス期イタリアの政治、外交、権力闘争を実務的かつ観察的に記述した古典的歴史書を英語圏に紹介する学術的翻訳である。
歴史書の翻訳に携わった翻訳家。
W. S. Merwinが1948年から1968年に訳した詩や短篇を集めた選集。多言語の詩作を詩人自身の感性で英語化し、翻訳者としての技量と詩的解釈を示す多彩な訳詩を収録している。
詩人としても著名な翻訳者で、多言語の詩を英語へ訳したことでも知られる。
ロシア近現代詩を英語で紹介するアンソロジー『Modern Russian Poetry』の編訳。20世紀の詩人たちの多様な声を集め、モダニズムや抒情性、社会的主題の変化を英語圏の読者に伝える選集である。
ロシア詩の編纂・紹介に関わった編集者・翻訳家。
ロシア近現代詩を集めた英訳アンソロジー。多世代の詩人を編纂し、翻訳を通じてロシア詩の表現の幅と時代的変遷を示す学術的かつ入門的な選集である。
編集者として詩のアンソロジーに携わった人物。
ジョアン・ギマランイス・ローザの短編集『Sagarana』所収の一篇『The Duel』の英訳。ブラジル内陸の風土とそこで生きる人々の矛盾や孤独、名誉と暴力を巡る物語を独自の文体で濃密に描く作品である。
ブラジル文学の英訳に携わった翻訳家。
ペーター・ワイスの劇『Marat/Sade』(正式題『The Persecution and Assassination of Jean‑Paul Marat...』)の英訳。精神病院という舞台装置で革命、暴力、芸術の関係をメタ的に問いかけ、政治的イデオロギーと人間性の相克を露わにする挑発的な戯曲である。
演劇やドイツ語作品の翻訳を手掛けた翻訳家。
ペーター・ワイスの劇『Marat/Sade』の英訳。精神病院の舞台を通して革命と表現、暴力の問題を浮き彫りにするメタ劇的な作品であり、演劇的手法と政治的主題が強く交錯する。
詩人としても知られる翻訳者で、演劇翻訳にも携わった。
コンスタンチン・パウストフスキーの自伝的長編『The Story of a Life』の英訳。著者の成長と旅、作家としての形成過程を詩的で叙情的な筆致で綴り、ロシアの文化的・歴史的背景が深く織り込まれた回想録的叙述が特徴である。
ロシア文学の英訳を手掛けた翻訳家。
ギュンター・グラスの代表作『The Tin Drum』(邦題『ブリキの太鼓』)の英訳。主人公オスカルの奇妙な視点と幼児期の反抗を通じて、20世紀のドイツ社会の混乱と残虐性を寓話的かつブラックユーモアを交えて描く長篇小説。
ドイツ語文学の英訳で知られる翻訳家。
フェデリコ・デ・ロベルトの『I Viceré』(英題:The Viceroys)の英訳。19世紀後半のシチリアを舞台に、権力にしがみつく名門一族とその腐敗、近代化の波に翻弄される地方社会を多面的に描く大河的な歴史小説で、家族と政治の交錯を通して国家の変容を描く。
イタリア語文学の英訳で知られる文学翻訳家。